2019.06.10 カテゴリー
第12回(最終回) 未完の自治体議会改革~自治体議会の現在・未来~
議会と議会事務局の可能性を見る
その上で、私が課題と感じ、あるいは期待を込めて見るこれからの議会、議会事務局の姿について、以下のとおりまとめてみました。
(1)条例が実質的な内容を有すること
自治体議会の中には、今なお理念的な議会基本条例も見られます。議会改革の積み重ねの結果、それらを条例で規定することが、議会が何をしなければならないかの「道しるべ」となり、改革の「継続と継承」のためにも必要です。
(2)議会に対する住民の理解を深めること
議会に対する住民の理解を深め、住民自らが選挙で投票した議員・議会の活動への関心を高めていくためには、議会モニター等の仕組みを活用して、「双方向のコミュニケーション」を深めることが必要です。
(3)政策活動は多元的であること
議会=立法機関に固執すると、そのレゾンデートル(存在価値)を見失います。首長の政策のチェックや予算・条例案の修正、政策・事業評価、議員個々の質問なども政策活動です。また、従来の「一過性の質問」から「追跡する質問」への移行は、行政課題の深掘り、解決につながります。それぞれの議会に応じた「多元的」政策活動が、議会の存在感を高めます。
(4)住民の声や意見が政策活動につながること
住民の声や意見が議会の政策活動につながる「政策サイクル」の確立が必要です。首長と違い、議会は合議制機関であることから、討議を行い、論点整理、争点情報の公開を通して、賛成であれ反対であれ、住民の納得性を高めるべきです。議会における討議は、本会議や委員会が公開であることにより、行政組織内における政策の決定過程よりも、より透明性の高いものであると考えます。
(5)財政に強い議員、議会であること
地方自治法上、議会の予算の議決事項は「款・項」ですが、予算説明書上、事業・施策ごとに予算計上がなされていない自治体が多いことから、予算書は議員が読み解くことが非常に難しいものとなっています。 しかしながら、自治体の大本は予算であることから、議員全員が財政に強くなる必要があります。そのためにも、自治体の行政評価としての事業別政策調書を行政側につくらせたり、予算説明書の詳細化を求めたりするなど、議員自らが財政に対する知識を深めることが必要です。今後、自治体財政はますます厳しくなることからも、「議員の鍛錬」が必要になります。