2019.05.27 コンプライアンス
第15回 浮かれて踏み外さないように──選挙後の対応
弁護士 金岡宏樹
この記事が出る頃は統一地方選挙も終わって、選挙を戦い抜かれた皆様は地元での挨拶や選挙収支報告書の作成、公職者としての活動など忙しい日々を送られているのではないでしょうか。
選挙の結果の善しあしにかかわらず、選挙後は支援者や支援団体、有権者の方々に対して応援御礼や感謝の気持ちを伝えることが多いと思います。
また、選挙後、選挙事務所の後片付けもあるかと思います。ところが、そんな場面でも公職選挙法に触れてしまう「うっかり違反」のリスクが潜んでいます。「しまった! こんな規定があったのか!」と後から後悔しないよう、今回は、そうした選挙後の対応について考えてみましょう。
Question
Q1 今回初めて県議会議員選挙に挑戦したAさん。無事に初当選を果たしました。Aさんは、支援してくれた方々への挨拶やお礼をするのは当然だと考え、以下のようなことをしようとしています。これらは許されるでしょうか。
① 選挙事務所と通常の事務所の入り口に「当選御礼」、「ご支援ありがとうございました」と手書きした張り紙を掲示する。
② 当選を祝う祝電や花がたくさん届いたので、そのお礼と当選報告の礼状を手書きではなく印刷して発送する。
③ 選挙運動期間中に選挙運動を手伝ってくれた方々に声をかけ、後日、プライベートで会費制の「当選感謝打ち上げ会」を開催する。
④ 選挙事務所の来訪者名簿に名前を書いてくれた方々の自宅を訪問して党員になってくれるようにお願いするとともに、当選お礼を伝える。
⑤ ④において、話のついでに夏の参議院議員選挙について自身が所属する党の公認予定者の宣伝をする。
⑥ 辻立ちで、選挙で使用した選挙ポスターが張られた立看板を傍らに置いて、道行く人に当選お礼の挨拶をする。
⑦ ツイッターやフェイスブックに、当選証書を掲げた写真とともに「皆さんのおかげで当選しました! ご支援ありがとうございました!」とメッセージを書き込む。
⑧ 街宣車に乗って、「地域の皆さん、初当選をさせていただきましたAです。ありがとうございました。これから頑張ります」と繰り返しながら選挙区域内を走行する。
⑨ 選挙事務所の撤収作業を行う数日間、選挙事務所に設置した看板やちょうちんをそのままにしておく。
⑩ 選挙運動期間中に陣中見舞いとしてもらった大量の鉢植えやお酒・飲食物を後援会の会員に配る。
Q2 Aさんの後援会役員であるBさん。Aさんが念願の初当選を果たしたことを喜び、周りにも気持ちを伝えようと次のようなことをしました。これらは許されるでしょうか。
① 知り合いに当選の事実と支援のお礼を記載した電子メールを送った。
② 翌年の年初に、選挙事務所前で撮ったAさんとのツーショット写真とともに、「当選感謝!」と手書きで書いた年賀状を友人・知人に送った。
③ Aさん名義の当選報告の挨拶状を、関係各所の挨拶回りで忙しいAさんに代わって代筆して郵送した。
④ Aさんの辻立ちの際、後援会会員も同行して、皆で道行く人に「ありがとうございました」といいながらお辞儀をした。
⑤ 後援会報に「A県議会議員当選インタビュー」と題した特集記事を掲載し、後援会会員に配布した。
⑥ 使わなかった選挙ビラや選挙はがきが手元にあったので、これを知り合いに記念として配った。