2019.04.10 カテゴリー
第10回 犬山市議会の市民のフリースピーチ制度を中心に~市民目線の「犬山モデル」の進化に期待!!
女性議会~もう一つの市民参加と政策提案~
犬山市議会が行ったもう一つの市民参加手法である「女性議会」を取り上げます。平成30年2月に市と共催し、公募により「いちにち女性議員」を募集し、10人の女性が参加しました。事前勉強会の後、模擬議会で一般質問を行い、市側の答弁に対する疑問を、議員も加わる「いちにち女性議員議員間討議」において意見交換し、その結果を議長に申し入れました。市に対する申入れは、全員協議会で討議し、意見集約できたものが対象となります。具体的には、小中学校の「置き勉」(置き勉強道具の略)の許可や、制度の廃止について、説明や周知の不足で市民に情報が正しく伝わっていないことについて、今まで以上に市民目線の情報伝達に努めてほしいというもので、市からの回答も、申入れに沿った内容となりました。
「犬山モデル」の進化を期待して
犬山市議会には、会派の動きにも特徴が見られます。議会内においては、志を同じくする議員がまとまって行動するために会派を構成していますが、採決の際には会派内で賛否が分かれているケースが見受けられます。これは、会派「内」において、議員間の議論が自由闊かっ達たつに行われていること、市民の利益を第一に考え、議員個々の意見が尊重されていることを示しています。
また、採決に至る過程においては、会派「間」で妥協しながら議論し、提案・意思表示していく必要があります。これは、ベストではないかもしれないがベターな選択をしていこうとする、まさに合議制機関としての神髄といえるでしょう。そうなると、常任・特別委員会において委員は、単に質問をする、あるいは採決要員として存在するだけでなく、「会派の代表」として意見をいえる状態でなければならず、それが議員のレゾンデートル(存在価値)につながるのです。
議会事務局人事についても全員協議会に諮りながら、議長が市長に要望していこうという姿勢が見られます。事務局が議員の支えとなっているからこそ、事務局職員を正当に評価したいという表れともいえるでしょう。
これまで犬山市議会が行ってきた取組みが「犬山モデル」として進化することを期待しています。それには、連載第5回でも述べましたが、一過性の改革にならないよう議会として「継続」と「継承」が必要になるのです。
(『自治体法務NAVI』「とっても身近な自治体法務シリーズ」2019.1.15号より転載)