2019.03.15 コンプライアンス
第14回 選挙告示直前! 注意点のおさらい(3)
5 買収罪等(法221条以下)
選挙犯罪の中で最もメジャーで検挙事例も多いのが買収です。連座制もあり候補(予定)者自身のみならず、選挙に関わる者全てが一番気をつけるべき犯罪です。
法は221条以下で買収に関する規定を置いていますが、詳細を解説するとそれだけで連載1回分になってしまうため、選挙前に候補(予定)者等が主体となりうるものについてポイントを絞り解説します。
ちなみに、選挙人に対して投票を得又は投票させないために行うものを「投票買収」、選挙運動者に対して特定の候補者に有利となる選挙運動をさせ又はさせないために行うものを「運動買収」といいます。
(1)要件
買収罪等の要件は以下のとおりです。
① 買収罪(法221条1項1号)
a 当選を得させる又は得させない目的をもって
b 選挙人又は選挙運動者に対し以下の行為をすること
・金銭、物品その他の財産上の利益の供与・供与の申込み・約束
・公私の職務の供与・供与の申込み・約束
・供応接待・その申込み・約束
② 利害誘導罪(法221条1項2号)
a 当選を得させる又は得させない目的をもって
b 選挙人又は選挙運動者に対し
c その者又はその者と関係のある社寺、学校、会社、組合、市町村等に対する用水、小作、債権、寄附その他特殊の直接利害関係を利用して
d 上記目的のための誘導をすること
③ 買収目的交付罪(法221条1項5号)
a 買収罪及び利害誘導罪の該当行為を行うため
b 選挙運動者に対し
c 金銭若しくは物品の交付・交付の申込み・約束をすること
④ 買収の周旋・勧誘罪(法221条1項6号)
①~③の該当行為に関して周旋(仲立ちやあっせん)又は勧誘をすること
⑤ 候補者等に対する買収罪(法223条1項1号)
a 公職の候補者を辞退若しくは立候補をやめさせる目的で
b 公職の候補者若しくは立候補しようとする者に対し
c ①又は②の行為をすること
⑥ 候補者等に対する買収の周旋・勧誘罪(法223条1項4号)
⑤の行為に関して周旋(仲立ちやあっせん)又は勧誘をすること
(2)買収罪等のポイント
買収罪等は皆様も気をつけられているかと思いますが、勘違いしやすいこと、意外と認識されていないことをポイントとしてまとめてみました。