2019.03.14 コンプライアンス
第13回 選挙告示直前! 注意点のおさらい(2)
A7選挙事務所の設置の形態について法は規制を設けていませんので、合同の選挙事務所も開設できます。ただし、設置にかかる費用や経費については、その使用状況に応じて按分しておく必要があり、一方が過分の負担をした場合、他方に対する寄附の禁止(法199条の2第1項)に抵触する可能性があります。
A8選挙ポスターや選挙ビラのデザインについて、どのようなものがよいか周りに意見を聞くことは考えられるところです。以前のポスターやビラ(ただし、ビラについては平成31年3月1日以降に期日を告示される県議会議員選挙(や市議会(政令市・特別区含む)議員選挙)について認められることになりました)についての評価・改善案を後援会に求めることは問題ないと考えられます。しかし、案であっても、不特定多数に選挙運動に使用しようとする文書図画を選挙運動期間前に示すことは、態様(例:予定稿を載せてよいかどうか意見を聞くなど)によっては事前運動と判断される可能性が高いといえます。
A9ポスター・ビラを含めた選挙運動のための文書図画の掲示は、内容・掲示方法・掲示場所等が定められています(法143条等)。試し刷りは、実際には使用しないものではありますが、候補者の氏名やスローガン等が当然に記載されていますので、このようなポスターを事務所の来訪者に見える形で掲示しておくことは事前運動となり、また文書図画の掲示規制違反ともなります。
A10制作中の選挙ポスター案や選挙葉書案の写真をツイッターやSNSで掲載することは、選挙運動に使用ないし選挙運動のための文書図画を頒布することになるため事前運動に当たるとともに、文書頒布制限(法142条)に違反するものと考えられます。
A11各種友好団体に対し立候補後の推薦の内交渉として打診することは、準備行為として事前運動にはならないと考えられます。しかし、告示前に推薦状を配って作成を依頼する行為は内交渉の範囲とはいえず、実質的な選挙に関する支持・投票依頼と評価され、事前運動に当たる可能性が高いと考えられます。
A12選挙事務所の開設を連絡する際、案内文書に「選挙事務所開設」と記載して配布することは、事前運動に当たる可能性があります。
選挙事務所の借入れ交渉は、告示後に選挙運動を開始するに当たり必要な準備行為といえますが、近隣に対する選挙事務所開設の連絡は、選挙運動に向けた準備行為として必須とはいえません。むしろ、近隣に対する選挙のアピール・投票勧誘の意味合いが強く、選挙運動と判断される可能性が高いです。
A13設問の差し入れは、形式的には事務所開きに対してなされたものですが、実質的にはBの選挙に関して差し入れられたものといえます。法は選挙に関して飲食物の差し入れを原則として禁止しており(法139条)、差し入れた支援者はこれに違反します。