2019.03.13 コンプライアンス
第12回 選挙告示直前! 注意点のおさらい(1)
A15通常、後援会員以外に頒布していない会報を、告示直前に無差別に選挙区域内の各家庭に配布することは、知名度向上ひいては投票獲得に向けた行為と見られるものであり、事前運動に当たるおそれがあります。
A16純粋に政策についての有権者の意見を聞くためだけであれば、日常の政治活動と考えられます。しかし、投票獲得目的で行われたり、選挙での支持を求めるなどの態様で行われた場合は、事前運動に加え、戸別訪問の禁止(法138条)に抵触することになります。
A17支援者の有志がそのような会を立ち上げることは問題ありません。しかし、会員勧誘活動については、勧誘時期が告示に近い時期であったり、また勧誘で選挙でのAへの投票を求めたり、さらには会員勧誘は形式にすぎず、実態はAについての宣伝等であった場合は、事前運動と認定される可能性が高いと考えられます。
A18後援団体の名称を記載した看板・立札については、政治活動のために使用する事務所において選挙管理委員会から交付を受けた票証を貼付したものを1か所につき2枚まで設置できます(法143条7項)。
しかし、空き地は「事務所」とはいえません。したがって認められず、文書図画の掲示違反として法143条1項に違反することになります。
A19政治活動用の自動車を使い、名前を名乗ってから政策を訴えることは、自己の政見・主張を述べるものであり、正当な政治活動であるといえます。ただし、このような活動を告示直前にやり出したとか、名前を繰り返し述べるなど、政策を超えた投票依頼の演説をするなどの場合は、当然に事前運動となりますし、さらに名前の連呼は連呼行為の禁止(法140条の2)にも抵触することになります。
A20選挙告示日の朝であっても、立候補の届出受付前は選挙運動を行うことができません。設問の場合「今日から頑張る」、すなわち選挙戦での支持を訴えているのであり、事前運動そのものとして許されません。
A21選挙前の一定期間(連載第9回「政治活動の要『後援会活動』(平時編)」(2018年9月10日号)参照)において、資金管理団体である場合を除き、自己の後援会に対して寄附をすることはできません(法199条の2)。
A22選挙前の一定期間は、後援団体がその設立目的により行う行事・事業等に関して寄附をすることはできません(法199条の5)。マイクロバスを借りて参加者を送迎することは、設立目的により行う行事・事業等に関する財産上の利益を与える寄附であり、本設問のような選挙告示直前に行うことは認められません。