12 選挙が変わる、政治が変わる、そのターニングポイントにしよう!
青木 今日は皆さんから色々とビラ作成のテクニックや工夫など聞けて良かったなと思いつつ、もう少し大きな視点から、「政策選挙をもっと広めていくにはどうしたらいいか」といったところももう少しお聞き出来ればと思っています。
川名 選挙が変わるかどうかの大きなターニングポイントになるんですよ、今回の政策ビラ解禁は。
青木 「候補者側の選挙文化はこれまでとは変わるだろうな」というのはあるんですが、有権者側の意識や行動様式も一緒に変わってかないと、文化全体としては変わらない。
川名 ただマイクで怒鳴るだけでなく、ちゃんと考えを伝えられるようなツールができたんだから、それを活用して有権者に伝える努力をしているか・していないかの差が今後出てくると思いますよ。
(写真)選挙が変わるかどうかの大きなターニングポイントになると語る川名議員
青木 さらにいうと、それだけ候補者の情報が出るようになってきたのだから、有権者が「あんな議員が」っていうのは、跳ね返って「あなたたちが選んでるんでしょ」という話になってきますよね。
川名 政策ビラのチェックリストが必要かな。政策がしっかり書かれているか、候補者の写真がでかすぎないか、とか。
田中 ただ、エリアによって温度差がある気もしますね。いわゆる都市部では政策ビラを作る人がすごく多いと思いますけれど、たとえば無投票に近いような地域で、わざわざ新たなツールを作ることにどれくらいの意義を候補者が感じるか。
青木 町村部はまだ解禁じゃないですしね。
全員 そうでしたね。
青木 議員の選ばれ方は今後も変わっていくと思いますが、自治体によって格差が出てしまわないようにしていきたいですよね。
今回の政策ビラは、確かに選挙時のツールではあるんですけど、選挙だけで終わるツールではなくて、その時に宣言した政策を、4年間の議会活動と連動させてほしいと思っています。個々の議員がそれをしっかりやることが、議会が信頼されるためのきっかけになっていくのではないかと。
それでは最後に一言ずつお願いします。
白井 選挙の時のマニフェストを起点に日々の活動を組み立てるというのは、理想ではなくて、それが当たり前だと思っています。
政策ビラ解禁で、現職であればあるほど、何をやったかということが問われます。それは「これを実現しました」ばかりではないはずです。どういうふうに任期4年間取り組んだのかというのを、ビラを通してどう伝えるか。
初めてのことだから難しいと思う方もいるかもしれませんが、それはあくまでアウトプット、工夫の問題です。でも、何を4年前に約束して、4年間何をやってきたのか・積み上げてきたのかということは、普段の市政報告とかブログやHPなどに蓄積したものを、自分自身が整理できていないといけません。前回の選挙、そして日々の活動、次の選挙まで、すべてはリンクしているはずです。それを改めて整理して提示することが、一番有権者に対しても分かりやすく、説明責任がついて、有権者側としても納得がいくんじゃないかなと。
(写真)マニフェストを起点にした議員活動が当たり前になってほしいとする白井議員
だから政策ビラだから特別に何かするということではなくて、ビラという媒体の特性と配布できる期間の特性を考慮して、4年間やってきたことをうまく整理すればいいんだと思います。この部分はネットで読んでね、とかでいいと思います。有権者側の印象として「やっぱりこうだったよね」っていう最後の確認のツールなんじゃないかな。はじまりであり、おわりであり、またはじまりであるみたいな。
青木 確かに公費で作る以上、選挙と議員活動の繋がりが意識できる、そういうツールになればいいなと思います。
田中 私も基本的には今白井さんが仰った方向に同意します。新しく何かをしなければならないという発想ではなくて、「今までの活動の延長線上としてこういうツールができました」という発想でいいのではないでしょうか。現職であれば、4年以上の活動実績があって、それをしっかり伝えるということさえしていれば、特別に何かしなければいけないっていう感覚はなくていいのかなと思います。
(写真)選挙の際の新しいツールが出来たので、それを最大限に使おうと語る田中議員
ただ一方で、有権者に実際に読んでもらえるか、という話になると、差別化の問題が出てくると思います。だから中身の問題と、どうやって見てもらうかという問題は、若干分けて考える必要があるけれど、基本的には選挙の際の新しいツールが出来たので、それを最大限に使っていかないとと思います。
今回の統一地方選挙で「解禁したけれど効果はどうだったの?」という話になってしまうと、それ以降が流行らなくて、中身云々より「使う/使わない」の問題になってしまい、「ビラを使わない人が多いなら解禁の意味がない」といった方向になる、その危惧はあります。
佐藤 今日お話をさせてもらって、どういうビラを作ってどういう風に使うかというイメージが出来てきた気がします。新しいツールが出来たというのは勿論プラスなんだけれども、おそらく新聞折り込みを利用しないことには4,000枚捌ける方法はないように思っています。けれど、できるだけ直接手渡ししたいとも思っています。
これまで選挙中には、「あなたの政策知りたいんだけど」と言われて、「すみません選挙期間中は紙を配れないんですよ」って返すしかないということを、何度もしてきました。街頭演説のときに手ぶらで立って話すしかなかった中、これからは演説を聞いてくれる人や道行く人に、「話している内容はここにまとめてあります」って言って、政策ビラを渡すことができる。そしてそこには自分が伝えたい政策が書いてあって、さらに人となりも書いてあって、更に深堀したい人にはQRコードが載っている、そんな渡し方をイメージしています。4,000枚すべてをそれで使い切れるとは思わないけれど。
(写真)今回の解禁で、伝えたい政策を込めたビラを配れるようになると評価する佐藤議員
あとは、政策ビラというツールを使って特に伝えたい相手をある程度ターゲティングをした上での新聞折込などのアイデアはいいと思いました。
ここに来るまでは漠然と思っていた4,000枚を、形も配り方も詰めて、トライしてみたいと、今日話していて思えました。マニフェストは選挙時だけじゃなくて選挙後も続いていくので、そういうイメージも持ちながら考えてみようと思いました。
川名 「政治を変えるツールに、みんなでしていきましょう」という結論です。選挙期間中に街宣車で騒ぐだけで本当にいいの、ということは前々から思っていました。市長選など、候補者が少なくて選択肢が少ない場合にはそれでもいいとは思うんだですが、市議選などで候補者が40人もいて全員街宣車でガーガー言うのはいったいなんだろうと思っていて。個人的には街宣車を使わない選挙をやってきています。市政報告のためのチラシを配るときにも朝はマイク使わないでチラシだけ配るということをやっています。そんな私にとってはよい制度だと思います。期間中もビラを配れるようになったということなので。
(写真)「政治を変えるツールに、みんなでしていきましょう」と語る川名議員
それに、有権者に政策を伝えるためには、ビラは一番分かりやすい媒体なんじゃないかなと思います。確かに演説のうまい人は本当にうまいけれど、市議会議員にそこまで求められているのかとも思います。政策でちゃんと選んでもらう選挙に一番適したツールがやっとでてきたなと思ってはいます。まあ、活用するかどうかというのは、候補者によりますが。時代が進むかどうか問われていると感じますね。
青木 ありがとうございます。まさに政治文化を変えていくツールにしていかなければいけない。それをもとに議員さんの評価や選ばれ方が変わってくる。政策もスマホで見られるような時代になってきていますしね。
(写真)政策型選挙をやっているかどうかで、自治体の差も出てくるとする青木氏
財政の面でも「あれもこれも」だった時代から、「あれかこれか」の時代になってきています。もしかしたら政策型選挙をやっているいかやっていないかで議員の選ばれ方も変わり、もしかすると、今後自治体の差も出てきそうだなと思いました。
そこまで繋がっていくのが今回の政策ビラ解禁だと思いますので、今政策選挙をやろうかやるまいか、迷っている方に対しては、「やられたほうがいいんじゃないか」と背中を押したいです。数年後に、まちの未来が変わっているかもしれません。
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【番外編】インフラとしての政策ビラ。その保存を考える。
青木 川名さんは公費で作る政策ビラはインフラとして保存すべきと主張されていましたね。
川名 そうですね、公費で作った政策ビラは次の選挙まで最低4年間は保存すべきでしょう。公的に保存しない場合に、有権者が個人レベルで検証できるのかって考えたほうがよいと思います。
佐藤 逆に言うと、検証されちゃうツールが1個増えちゃうという話ですね笑。保存する発想はなかったけど、選挙公報だってそうなってるから、検証可能なものとして残していくのは大事ですね。
川名 浦安市では市立図書館で議員が発行するチラシを全部集めてるそうですよ。
佐藤 日野市の市政図書室もやってますね。議員のビラ1枚でも、届けられたものについてはファイリングされています。
白井 議会図書室で保存するというのがいいかもしれないですね。