10 新人議員と現職議員で政策ビラに盛り込む内容は変えるべき?
青木 政策ビラの構成について「片面政策、片面実績」というのがいいのではというお話が白井さんからありましたが、それは皆さんも同じお考えでしょうか?
川名 現職は実績で判断されるべきだと思いますよ。仮にそれがないという人は、一体議員として何がしたいのか。
白井 理想論を言えば、実績の中に、前回選挙のときに掲げたマニフェストに対してどう取り組んだのかということを、できるだけ具体的に盛り込めたらベストかなと思います。
青木 前回の選挙で、政策として掲げたものが次に実績として載るといったイメージでしょうか。
白井 それが一番理想ですが、我々議員には予算編成権がないこともあって、掲げた政策すべてを実現しました、ということは難しいです。だけど、掲げた政策にこういう風に取り組んで、結果こうなりましたよとか、叶ってないけれども今こっちの方向に動いていますとか、伝えることはできますよね。
佐藤 別の論点としては、掲げた政策自体の合理性とか妥当性、というのもありますよね。選挙で言ったことをやったから偉いのか、「そもそも掲げた政策の方向性が違うからね」ということもあるのではないでしょうか。
「言ったからやる」というのは姿勢としては大事だけど、「言ったことが間違っていた」という可能性もありますよね。
そういった政策の軌道修正は、首長の場合は市政運営の過程ではっきりと出るけれど、地方議員の場合はどう修正するべきなのか、というのは考えてしまいますね。
「議員になって、情報が得られるようになって再検討してみたら、やっぱりあの話は違っていました、すみません」っていうのだってありますよね。もちろんそういう状態で何期も続けていたら突っ込まれても仕方ないけれど。
だから、実績を評価するうえでの客観性とか、評価の表現ってすごく難しいと思います。
青木 私は政策を変えるときは説明責任を果たせば変えていいという立場です。ところで、新人として出馬する場合は、現職と違って実績が書けない分、何を書くべきでしょうか。
白井 僕が新人だとしたら、やっぱり片面は政策で、片面はプロフィールを厚くします。人物像が有権者から全く知られてない状態だと考えると、政策ビラを通して人となりをいかに知ってもらうかっていうのも大事なことだと思います。
川名 あと、「何故市議会議員になるのか?」というのも最大のポイントだよね。有権者はその動機の部分がやっぱり一番気になるんじゃないでしょうか。
佐藤 実際今でも聞かれますよね。「そもそもなんで議員になったんですか?」って。
田中 私も、初選挙のときは、自分の想いを書きましたよ。「想い」という形で、何故議員を目指したか、そしてこういう「まち」にしていきたいっていうのを込めました。
川名 それから、その人が議員になることによって、市民生活はどう変わるのかってことを伝えればばいいと思います。「議会でちゃんと主張します、こういう提案をしていきます、こういう情報を提供します」とかね、その辺りがビラの中で出てくると、読む方にも分かりやすくなります。
佐藤 あれも作ります、これも作りますはできるわけがないですからね。
田中 想いの話で言うと、「こういう想いがあるから、こういう政策をやりたいんです」っていうことで、裏面の政策部分に繋げることができますよね。だから、自分の想いが整理できていないと、裏面の政策って難しいのかなと思いますね。
佐藤 現職は2期目までに取り組んできた政策を「3期目で全くやらなくなる」ということはおそらくないですよね、それまで実現してきたことの先に枝を伸ばしたりしていくわけですよね。だから実績と政策は一体のものです。他方、新人さんはある種、言いたい放題言ってもいいんだから、夢や希望や自分を語ればいいんじゃないでしょうか。
現職でも、僕なんかは、住民からはあまり知られてないという前提でやっています。だから毎回プロフィールには「なぜ議員になったのか」という点を出していかないと、と思っています。
11 政策ビラと他のツールの連動も考えよう
田中 A4サイズの政策ビラだけで完結させるというのではなくて、そこからより深い所に導く、そのための第一段階のツールという考え方があるかもしれませんね。政策ビラを作る際には、分かりやすい文章や構成、たとえば箇条書きでといったことで作成し、さらに深い内容を知りたい人は「インターネットでどうぞ」といった連動が考えられますね。政策ビラを、導くためのツールとしても意識した方がいいのかもしれないです。
青木 皆さんは、ビラにQRコードは入れていますか。
佐藤 前回選挙前に配ったチラシには入れました。前回のチラシでは、ブログとかHPのリンクにとぶQRコードしか載せてなかったんです。でも、今回は例えばビラで「子どもの政策」って書いてあったら、ブログでそのテーマを扱っている記事に飛ぶように、政策ごとにQRコードを配置するなどの工夫をしたいと考えています。
ビラに細かい字で書くよりも、「詳しくはこちら」へとウェブサイトに誘導する。記事だとまとめて書くことができるから、「こういう人ねー」ってなる。見やすさを考慮したとき、紙で全部を表現するというのは無理ですから、他のツールとの連動は必須ですよね。通勤電車の中で読んでくれる方も結構いるみたいです。
川名 私のブログのアクセスを見ても、スマホからのアクセスが半分を占めています。だいたい通勤中に…そもそもパソコンを使わない人も増えていますからね
佐藤 チラシを駅で配るときは、電車の中で邪魔にならないサイズで、続きはウェブで深堀りしてくれるのを期待しながら、入り口を作るって感じです。