7 政策(マニフェスト)の評価・検証という難題
青木 マニフェストスイッチでいえば、2015年にスタートして今回2回目の選挙なので、前回のマニフェストの評価・検証のフェーズになるとは思っています。
白井 「評価・検証」の話で行くと、先日「シライトオル株主総会」、要するにマニフェストチェックを行いました。参加者に対して、1年間の活動報告と選挙の時に掲げた政策の進捗状況を一覧にして報告しました。
今回やってみての感想としては、有権者にその場ですべて把握してもらうのは難しいということです。1つひとつの施策を説明しているとそれぞれ30分くらいかかってしまいます。政策の検証をきちんと有権者にも伝わる形で行うにはどうするべきなのかというのは、非常に難しい課題だと実感しました。それでも、検証はやらなきゃいけないと僕は思っています。それは、こういう検証が当たり前になることによって、本当の意味での政策選挙が作れると思っているからです。ところが現状では政策を振り返って検証する議員が中々いないので、流行らないという悲しい現実があります。
青木 確かにそうですね。評価・検証をどのように行うのかというのは難しいところです。
白井 それから検証の難しさというところにも繋がる根深い問題として、僕自身がずっと課題に考えているものに、「議会の役割が住民に知られていない」ということがあります。
7年程前に住民に対して実施した小金井市議会のアンケートでは、議員の活動について回答者の半分以上が「知らない」と答えました。
二元代表制における地方議会の役割は、執行部が提出する議案に対して、良いとするか修正とするかダメとするかを議論して決めること。そして、それとは別に自分たちで政策を作るということも役割なわけです。
こうした役割や意義を知らないと、住民が投票する際の判断基準が、議会内での活動ではなくて、「何だかこの人によく会うな」とか「頑張っているから」とか、印象だけで判断しがちになるのではないでしょうか。それは投票行動として理想的でないと思うんです。
(写真)地方議会の役割を知らないと選挙の時印象だけで判断しがちになるのではとする、白井議員
青木 確かに、そもそもの役割が理解されていなければ、正当な評価や検証も難しいですよね。
佐藤 二元代表制の本質がどこまで地方議会全体に浸透しているのかというのは難しいですよね。私たちとしては粘り強く訴えていくことしかできないのだけれど、どこの議会でも与党野党と言っている現状があるのも事実なわけで…。
だからこそ、政策ビラ解禁では何を伝えていくのかっていうのが大事なんでしょうね。検証の話に戻ると、選挙の時には「あれやります、これやります」と言って、挙句の果てにはやってもなかったことを、次の選挙の時に急に言い出す……
全員 「「あれ俺詐欺」」(笑)
佐藤 っていうのって、“選挙あるある”ですよね。「あれは私がやりました」という話をしまくるという…。検証する材料がほとんどないから有権者は煙に巻かれてしまう。「候補者がみんな『やってる』っていうけれど、本当のところはどうなんだろう」と誰も解き明かせない……。
議会としてしっかり検証して説明責任を果たすということが出来ればいいんだろうけど、難しい話だなと。
青木 あれ、要はフェイクニュースですよね。
白井 個人的には許せないですね。ただ、きれいごとばかり言ってても、現実問題としてそういうのがすべてなくなるかというとそうではないので、有権者に見る目をつけてもらうという方法もあると思う。
青木 仰る通りですね……。例えば今回の政策ビラ解禁をきっかけに、議員側が選挙において表明した政策(マニフェスト)をベースにして一般質問などをはじめとした議会活動をするということがもっと広まってくれば、検証はもっと分かりやすくできるようになりますよね。
「あれ俺詐欺」となってしまうような主張があっても、有権者がちゃんと見る目を持って真実とフェイクニュースを仕分けて考えられる、というのが理想的ですよね。政策選挙を推進していく中で重要な点だと思います。