2019.01.15 コンプライアンス
第11回 政治活動の要「後援会活動」(選挙時編2)
(キ)ビラの頒布
確認団体は、当該選挙に関する事務を管理する選挙管理委員会に事前に届け出た2種類以内の政治活動用ビラを頒布(散布は除きます)することができます(法201条の9第1項6号)。
《頒布の条件》
ビラの表面には、当該確認団体の名称、選挙の種類及び法14章の3の規定によるビラである旨を表示する記号を記載しなければなりません(法201条の11第5項)。
《頒布の枚数》
枚数につき、制限はありません。
《使用方法・内容》
所属候補者や支援候補者の選挙運動のために使用することができます(法201条の9第2項、201条の6第2項)が、候補者の氏名や氏名類推事項を記載することはできません(法201条の13第1項2号)。
なお、政党その他の政治活動を行う団体のシンボル・マークを表示するビラも、政治活動用ビラとされています(法201条の5)。
《頒布場所・方法》
頒布の方法としては、政談演説会場での配布や、選挙事務所や街頭演説等選挙運動の場での手渡し、郵送や新聞折込みなど自由に行うことができます。
また、国又は地方公共団体が所有・管理する建物での頒布は認められません。ただし、専ら職員の居住の用に供されているもの及び公営住宅においては可能です(法201条の13第1項3号)。
なお、他人の住居や集合住宅などで、「ビラ投函禁止」や「ビラ配布のための敷地内立入りを禁止します」などの表示がある場合、敷地などへの立入りが住居侵入罪(刑法130条)に問われるおそれもあります(最判平成20年4月11日刑集62巻5号1217頁、最判平成21年11月30日刑集63巻9号1765頁等)。
さらに、頒布の目的・態様などによっては、戸別訪問の禁止(法138条)に抵触する可能性もありますのでご注意ください。
(ク)機関新聞紙・機関雑誌
政党その他の政治団体の発行する新聞紙及び雑誌(機関新聞紙・機関雑誌)は、選挙の告示日から選挙日までの間、選挙に関して報道及び評論を掲載することができません(法201条の15、148条)。
しかし確認団体については、一定の場合につき例外を認めています。
《例外の条件》
① 確認団体の本部が直接発行しているもの(ただし、一部に地方版を設けて掲載することはできます)
② 通常の方法によって頒布するもの
③ 選挙の都度、当該選挙事務を管理する選挙管理委員会にあらかじめ届け出た新聞紙・雑誌各1種であること。なお、届出に当たってはその名称、編集人及び発行人の氏名、創刊年月日、発行方法及び引き続いて発行されている期間を記載しなければなりません(法201条の15第2項、公選法施行令129条の7)。
④ 号外、臨時号、増刊号その他の臨時に発行するもの(号外等)ではないこと
なお、この制限は機関新聞紙・機関雑誌のうち、当該選挙に関する報道及び評論を掲載するものを対象としていますが、そのような報道及び評論を掲載していないものであっても、号外等で当該選挙区域の特定の候補者の氏名や氏名類推事項が記載されている場合には、ここにいう号外等とみなされます(法201条の15第3項)。
《認められる機関新聞紙・機関雑誌の掲載内容》
選挙の公正を害さない範囲で、当該選挙に関し報道及び評論を掲載することができます(法201条の15第1項、148条1項)。条文では「虚偽の事項を記載し又は事実を歪曲して記載する等表現の自由を濫用」とありますが、例示であり、その他の方法でも選挙の公正を害する記載は認められません。
《機関新聞紙・機関雑誌の頒布方法等》
「通常の方法」により頒布することができます。従前の頒布方法が通常の方法であるかどうかは、それまでの機関新聞紙・機関雑誌発行における当該頒布方法の継続性、頒布の態様、有料か無料かなどによって総合的に判断されます。
その上で、頒布の方法につき、発行期間や種類により下表のように分類されます(法201条の15第1項)。
(※)紙面の日付ではなく実際に発行した日の翌日から起算します(民法140条)。
さらに、法148条2項により都道府県の選挙管理委員会の指定する場所に掲示することができます。