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2019.01.15 カテゴリー

第7回 「学ぶこと」、「交流すること」の意味を考える~議員、住民、議会事務局職員の視点~

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議員が学び、住民も学ぶ、それが交流となる

 本連載Vol.3でも触れましたが、先進的な議会改革を進めてきた北海道芽室町議会で議会モニターや議会改革諮問会議会長を経験された方の「知れば知るほど、議会には重要な責任があることが分かってきた」、「議会モニターをしたことで、議会は以前より身近で開かれた存在となり、分かりやすくなった。私の意識が変わったのだ。議会改革においては、町民の意識をどう変えていくかということも重要なのではないか」という経験談は、町民の学び、議会との交流の大切さを示しています。議会モニターや議会改革諮問会議等を導入し、町民の意見を真摯に聴いた議会、それらの制度を契機に学び、議会改革につなげた町民の皆さん双方に拍手を送りたいと思います。ここでのポイントも、「学ぶ」、「交流する」です。
  旭川市議会では、議会基本条例19条において、「議会は、常に市民の意見、社会情勢の変化等を勘案して、議会運営に関し不断の評価及び検証を行い、改善の必要があると認めるときは、適切な措置を講ずるものとする」と定め、2年ごとに3人の学識経験者の合議による議会運営の評価及び検証を行っています。評価及び検証は市民目線で行われ、その結果は報告書として公表されています。議員にとっても、また、報告書を見た市民にとっても、議会活動への理解が深まると思います。これも、「学び」、「交流」といえるでしょう。
  住民参加に取り組んでいない自治体議会では、仮に議会が改革を進めていたとしても、議会改革に対する住民の理解は深まらないでしょう。それどころか、議会に対する誤ったイメージや無理解が残ったままになります。残念ながら、これらの負のイメージ等を解消する術を、議会が持ち得ないことになります。これは、議会、住民双方にとって、非常に不幸なことです。

議員と住民が相互に学び、交流のある住民参加を

 これまで、自治体は議会と首長の二元代表制であり、2006年の栗山町議会基本条例の制定を経て、議会の住民参加が深まってきたこと等について触れてきました。
  住民参加に取り組んでいく場合の最大のポイントは、
「学び」と「交流」といえます。学校教育や生涯学習でも、教え、教えられることで互いの理解が深まっていきます。また、オータムセミナーの事例でも挙げたとおり、悩んでいること、分からないことに対する学びと交流があってこそ理解が深まります。それは、議会における住民参加にもつながる考え方です。芽室町議会、旭川市議会の事例でも挙げたとおり、住民と議会との双方向のコミュニケーションが働いてこそ互いの理解が深まり、より良い関係が築かれるのだと思います。このように、住民参加を通して、住民と議会の双方が学び、そこに交流が行われることが肝要です。
  そのように考えていくと、地方自治法に規定された参考人招致や公聴会制度等のみで議会・議員と住民双方の理解が深まるかは疑問です。それらに加えて、多様な住民参加、住民との交流が行われていくことが重要です。それぞれの議会には、地域の実情、住民との関係等様々な背景があると思いますが、住民参加の手法が多様にある中、例えば少人数の住民で構成される議会モニターを活用した住民参加であっても、議員と住民双方に気づきを与えることができます。
  すでに多様な住民参加の仕組みを取り入れている自治体議会はさておき、「学ぶ」、「交流する」議会モニターの取組みは導入に値するものであり、いまだ住民参加に取り組んでいない、悩んでいる議会、とりわけ議員1人当たりの人口が一般市の人口に相当する大都市議会にあっては、取り組みやすい制度といえるでしょう。議員は、住民の負託を受けているものの白紙委任を受けているわけではないことを認識し、住民は、お任せ民主主義にしてはいけないことを自覚することが大切です。そのためのキーワードが、「学び」、「交流」です。議会モニターは、議員にとっては議会の活動を住民に理解してもらいやすく、住民にとっては議会活動に対する理解を深めやすい制度です。また、議会事務局職員にとっては不特定多数の住民を対象とするよりも制度設計しやすいでしょう。このように、一部の住民に限定した制度であっても、着実に住民参加を進めるために取り組むことが重要です。
  なお、議会における議員間討議も、お互いの意見を聴き、結論を出していくという意味では、「学び」、「交流」であることは、いうまでもありません。

(『自治体法務NAVI』「とっても身近な自治体法務シリーズ」2018.11.15号より転載)

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