2018.12.10 カテゴリー
第6回 大地震発生時における指定都市議会の対応を考える~想定試論
北海道自治体学会会員/同学会議会技術研究会共同代表/札幌市職員 渡辺三省
大地震発生時の振返り
平成30年北海道胆振東部地震が、9月6日午前3時7分に発生しました。各家庭では眠りに落ちている時間帯に最大震度7、札幌市内でも6弱という、これまでに経験したことのない大地震。暗がりの中の突然の大揺れで、日頃の心構えはどこへやら、恐怖心に満ちた時と間きを送りました。市域内で震度5弱以上の地震が発生した場合、自動的に災害対策本部を立ち上げるルールとなっていることから、札幌市役所では、市長を本部長とする災害対策本部を即時に立ち上げました。
今回の大地震により、北海道全体でブラックアウトによる停電が起きるという極めて異常な事態となり、札幌市内においても、市営地下鉄・路面電車、民間バス、JR が全面ストップしました。また、一部の区では断水となり、住宅や道路にも多くの損壊が生じるなど大きな被害に見舞われ、市民生活は困難な状況に直面しました。まさに大都市、都市型社会のぜい弱性があらわになった瞬間でした。この事態に市は、災害対策本部を中心に、本部長である市長の指示のもと、市職員が総力を挙げて被害拡大防止、避難所運営、施設の復旧等に取り組みました。
今回は、大地震発生後の指定都市議会の取組みのあり方として、指定都市全般に普遍化して、「指定都市議会は、大地震発生の際、どのように対応すべきか」について、試論をまとめてみました。
災害対策本部設置後1週間から10日までの状況
市の災害対策本部は組織力、機動力を発揮して、各局区の人的資源等を最大限に有効活用しなければなりません。一方、議会は、議事機関としての役割を全うするため、市の災害対策本部と連携しながら情報収集をすることが大切です。地震発生時の初動の取組みとしては、特に業務時間外の場合、市職員と同様に議会事務局職員も、家族や身の回りの安全を確保した上で参集し、まず各議員の安否確認を行います。
そして、議会事務局の橋渡しにより、市の災害対策本部と議会が立ち上げるべき組織をつなげていくことが重要となります。議会の組織としては、正副議長を中心として、議会運営委員会、あるいは各会派代表者会議、幹事長会議等が想定されます。職員はもちろん、市長や議員自身も被災者となり得ますが、市長、議員・議会は市民の負託を受けた「市民の代表機構」であり、市長の指示を受けて職務を遂行する職員機構もまた、「市民の代行機構」であるため、市民の平穏な日常生活を取り戻すための対応に取り組まなければなりません。