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2018.11.26 コンプライアンス

第10回 政治活動の要「後援会活動」(選挙時編1)

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検討

 それでは、以上を踏まえて各設問の帰結と理由を検討していきます。

Q1について
① 電話作戦の配分や選挙対策を話し合う会議は、選挙に関する事務等を行っているといえます。したがって、当該場所は「選挙事務所」との届出がなくとも選挙事務所に当たります。都道府県議会議員選挙において選挙事務所は1か所しか設置できないため、すでに正式な選挙事務所が届出されている以上、届出義務(法130条2項)及び設置数の制限(法131条1項)に違反することになります。
② 選挙葉書は所定の方法(法142条5項)により頒布しなければならず、手渡しなどで頒布することはできません。しかし、発送を前提として宛名や推薦欄への記載をしてもらう目的で手渡すことは、選挙葉書作成に必要な準備であり、違法な頒布とはいえません。もっとも、選挙葉書を回収するつもりもないのに宛名書き依頼の名目で頒布したような場合や、不特定多数の有権者に大量に頒布したりすれば、法の規定を潜脱し法定外の方法により頒布したものとして頒布方法の違反(法142条5項)となります。また、訪問して選挙葉書作成を依頼する際に、併せて投票依頼目的があったり、手当たり次第に訪問するなどの訪問態様によっては戸別訪問の禁止(法138条)に当たる可能性もあります。
③ 選挙運動のために演説会・街頭演説について戸別に告知を行うことは、戸別訪問類似行為(法138条2項)として禁止されます。本設問の場合、個人演説会や街頭演説を盛り上げるために行っており、選挙運動のためになされていることは明らかです。なお、他の訪問目的と併存していても禁止されます。
④ 駅立ちで声かけをすること自体は問題ありません。もっとも、同じフレーズを短時間に連続して繰り返した場合は連呼行為(法140条の2)に当たる場合があり、また大人数で一斉に声を上げるなどの場合は気勢を張る行為(法140条)とされる場合もあります。本設問では、フレーズが短く、後援会が参加するため、それなりの人数が参加しているものと思われます。そのため、上記に該当しないように気をつける必要があります。
⑤ 選挙運動に関し飲食物を提供することは、何人であっても認められていません(法139条)。もっとも、湯茶及びこれに伴い通常用いられる程度の菓子は例外とされていますが、おにぎりやジュースはこれに当たりません。
 また、選挙事務所での炊出しについては、材料を持ち寄った者が自ら食事するためであれば、自らの食事をつくっているだけですが、これを第三者に提供する場合は、法139条が禁ずる「提供」に当たることになります。
⑥ 電子メールで選挙運動を行えるのは、候補者か確認団体に限定されており(法142条の4第1項5号〜7号)、後援会が法201条の8第2項の確認団体でなければ、そもそも電子メールを送ることはできません。仮に後援会が確認団体であっても、送信先は選挙運動用電子メールの受信を承認した者等に限定されます(法142条の4第2項各号)。メールマガジンの宛先のアドレス全てがこの要件を満たしていなければなりません。
 他方、ホームページやツイッターでの選挙運動は選挙運動期間中、誰でも行うことができ、後援会も同様ですが、連絡先の表示等の要件があります(法142条の3以下)。

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