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2018.11.26 コンプライアンス

第10回 政治活動の要「後援会活動」(選挙時編1)

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弁護士 金岡宏樹

 今回は、前回に引き続き後援会活動のうち、選挙運動期間中に後援会が関わる選挙運動に関する問題について検討していきたいと思います。
 後援会の本領が発揮されるのは、まさに選挙戦での支援候補者のサポートです。いろいろな形で当選に向けた活動が行われますが、後援会幹部が知らないうちに会員がよかれと思ってやってしまったことが、実は公職選挙法(以下「公選法」ないし「法」といいます)違反だったりすると、候補者の足を引っ張ることになります。
 以下、気をつけるべきポイントについて解説していきます。

Question

Q1 県議選が告示され、後援会で応援している議員の3期目を目指す選挙戦が始まりました。
① 選挙運動期間中、選挙応援のため後援会長宅に選挙対策チームが毎晩集まって、選挙事務所とは別に電話かけの配分や対策のための会議を開いてもよいでしょうか。
② 後援会幹部が会員の自宅を回って、選挙葉書の宛先と推薦欄を書いてもらうよう葉書を配ってもよいでしょうか。
③ 個人演説会や街頭演説を盛り上げるため、演説会や街頭演説の時間と場所を後援会員宅に伝えて回ってもよいでしょうか。
④ 候補者の朝の駅立ちに後援会が参加して、「候補者○○、頑張っています!」と通行人に声かけをすることはできますか。
⑤ 選挙事務所で頑張っている選挙運動員のため、後援会からおにぎりやジュースなどの飲食物を差し入れることはできますか。また、選挙事務所で炊出しをすることはどうでしょうか。
⑥ 後援会のメールマガジンで「○○候補3選のため、必ず投票に行きましょう!」と呼びかけてもよいでしょうか。公式ホームページやツイッターで呼びかける場合はどうでしょうか。

Q2 支援する候補者がめでたく3期目の当選を果たしました。
① 候補者からの後援会への当選の報告と御礼を後援会報に掲載してもよいでしょうか。
② 後援会のホームページで御礼を掲載することはどうでしょうか。
③ 選挙戦を頑張った後援会の仲間同士で祝賀会を兼ねた慰労会を開いてもよいでしょうか。また、後援会主催で開催することはどうでしょうか。

Answer

A1① 選挙事務所であると認定され、設置の届出(法130条2項)及び設置数の制限(法131条1項)違反になると考えられます。
② 選挙葉書の宛名や推薦欄への記載をしてもらうために、後援会員に葉書を手渡すことは問題ないと考えられます。しかし、選挙葉書を渡す目的・態様によっては頒布方法の違反(法142条5項)となります。また、訪問目的・態様によっては戸別訪問の禁止(法138条1項)に当たる可能性もあります。
③ 戸別訪問類似行為(法138条2項)として禁止されます。
④ 声かけの内容からは連呼行為(法140条の2)に当たる場合があり、また声かけ方法によっては気勢を張る行為(法140条)とされる場合もあります。
⑤ 選挙運動に関し飲食物を提供することはできません(法139条)ので許されません。また、炊出しも自らの食事以外については同様となります。
⑥ 電子メールを使って選挙運動ができる団体は限定されており、また、対象も制限されています。したがって、後援会がその要件を満たさない限り違法となります。
 他方、ホームページやツイッターでの呼びかけは誰であってもできますので、後援会がすることも可能です。

A2① 後援会報に候補者の当選報告や御礼を掲載して配布・掲示することは、選挙後の挨拶に当たり許されません(法178条2号)。
② インターネット上での挨拶については規制されていませんので、当選御礼の挨拶を掲載することができます。
③ 仲間内で当選祝賀と慰労を目的とした会合を開くことは、それが選挙人に挨拶する目的をもって行われたものでない限り許されると考えられます。

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