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2018.09.10 コンプライアンス

第9回 政治活動の要「後援会活動」(平時編)

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3 公選法の適用を受ける「後援会」
 以上から、公選法の適用を受けることになる「後援団体である後援会」は、上記1の意味での後援会のうち2を満たす団体を指すことになります。しかし、いわゆる政治家の「後援会」は特定の公職者等を支持して政治活動を行っているのが通常ですので、実際はほぼ公選法の「後援団体」に該当していると考えられます。

4 政治資金規正法の「政治団体」との関係
 政治資金規正法3条1項は「政治団体」について定義を置いています。同法の「政治団体」は、政治上の主義・施策の推進や支持又は反対、特定の公職者等の推薦・支持又は反対を本来の目的とする団体や、これらに関する活動を主たる活動として組織的かつ継続的に行う団体としており、公選法上の後援団体と同一ではありません。
 そのため後援会が公選法上の後援団体であっても、政治資金規正法3条1項の「政治団体」に当たらない場合もありうるのです。

解説2 後援団体である後援会の行う平時の活動と公選法の規制
1 平時の後援会活動と公選法の規制
 後援団体である後援会は、解説1の2②で述べたように、特定の公職者等の政治上の主義・施策の支持や当該公職者等の推薦・支持を目的としていますから、その活動もそうした支持の拡大を目指すものとなります。
 その活動方法としては、特定の公職者等の政治活動を資金面で支援する、支援者を集める、政策を理解してより熱心に応援してもらうといったことが考えられます。そこで、こうした活動を行うに当たり直面しうる公選法の規制を見ていきましょう。

2 後援団体である後援会に関する寄附の規制
(1)後援団体である後援会からの寄附(法199条の5第1項)
 後援団体である後援会は、当該推薦・支持する公職者等の選挙区域内にある者に対する寄附につき原則として禁止されています(法199条の5第1項)。
 もっとも、以下の場合については例外が認められています。
〈例外1:政党その他の政治団体(又はその支部)に対する寄附〉
  政党・政治資金団体以外に対しては同一の団体に対し年額5,000万円までの制限があります(政治資金規正法22条1項)。
〈例外2:その政治団体が推薦・支持する公職の候補者等に対する寄附〉
  公職者等に対する金銭等(金銭・有価証券等)の寄附は、選挙運動に関する場合を除き、何人もすることができません(政治資金規正法21条の2)。
〈例外3:後援団体がその団体の設立目的により行う行事又は事業に関する寄附〉
  「花輪、供花、香典、祝儀その他これらに類するもの」や、「一定期間」(後述)内にする寄附は原則どおり禁止されます。

 ですから、後援会員の慶弔に関して後援団体である後援会がお祝い金や葬儀会場で供花等を出すことはできません。また、高額な物品等を賞品として授与するような場合は、「祝儀」とみなされる可能性があります。

【一定期間】
 この言葉はその他の寄附の際にも出てきます。選挙の種類によって区別されていますが、所管の選挙管理委員会に確認して勘違い違反にならないよう気をつけましょう。
○通常の地方議会議員・首長の任期満了による選挙
 a 任期満了日の前日から数えて90日目から投票日までの期間
 b 選挙を行うべき事由が生じたときにその告示があった日の翌日から投票日までの期間
 のいずれか早い日(法199条の5第4項)。
○統一地方選挙の場合
  選挙期日前90日に当たる日から投票日まで(例:地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律6条(平成27年統一地方選挙の場合))。

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