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2018.09.10 選挙

政治分野における男女共同参画の推進に関する法律〜成立までの流れと論点〜

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(3)3条(国及び地方公共団体の責務)
 3条については、関係議員間で、地方公共団体について責務を定めたことの意義が特に強調されることが多い。5条2項及び6条から8条の基本的施策においても、国と並んで地方公共団体も主体として規定されているが、これは、3条の責務規定についてのこのような認識の反映である。他方、本条においても、また、5条2項及び6条から8条の規定においても、文末を「努めるものとする」として努力義務と位置付けているのは、地方公共団体における取組みは、地方分権の理念の下、各地方公共団体の工夫により取り組んでいただくことが適切と考えられたためである。

(4)4条(政党その他の政治団体の努力)
 4条では、各政党が、基本原則にのっとり、当該政党に所属する男女のそれぞれの公職の候補者の数について目標を定める等、自主的に取り組むよう努めるものとするとされている。政党に一律の義務を課すような形とせず、「自主的な取組み」の「努力義務」にとどめているのは、2条1項で政党の候補者選定の自由、候補者の立候補の自由その他の政治活動の自由を確保する旨規定されていることとも呼応したものである。
 「当該政党その他の政治団体に所属する男女のそれぞれの公職の候補者の数について目標を定める等」という文言は、立法者が想定する本条に基づく取組みの具体例を明記したものであるが、取組みの内容は法的に必ずしもこれに限られるものではなく、各政党が、その創意工夫に基づいて、自主的に定めるものである。

(5)5条〜8条(基本的施策)
 5条〜8条では、政治分野における男女共同参画の推進に当たって考えられる基本的な施策を列記している。すなわち、①実態の調査や情報の収集等、②啓発活動、③環境整備、④人材の育成等の4つの項目である。
 これらの規定では、国のほか、地方公共団体が主体として規定されているが、その趣旨については、3条の解説を参照されたい。
 国においては、この法律を共同で所管する内閣府及び総務省がこれらの施策を担うことになる。両府省において具体的にどのような施策を講ずることが想定されるかについては、参議院内閣委員会において附帯決議がなされており、これが議員連盟関係議員や政府の認識を示すものであるので、その内容を図2に紹介することとする。

図2 政治分野における男女共同参画の推進に関する法律案に対する附帯決議図2 政治分野における男女共同参画の推進に関する法律案に対する附帯決議

(6)9条(法制上の措置等)
 9条においては、国が、5条に規定する実態の調査及び情報の収集等の結果を踏まえ、必要があると認めるときは、必要な法制上の措置又は財政上の措置その他の措置を講ずる旨規定されている。
 もっとも、現段階において、「法制上の措置」として各党間で合意が得られたものがあるわけではなく、5条に基づく実態の調査等の結果や、各政党の自主的取組みの状況等を踏まえて、まずは各党・各会派において議論がなされることになるものと考えられる。

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