2018.05.25 議会事務局
第36回 公聴会と参考人
参考人の招致が多い事例って?

さて、実際に参考人の招致が多く行われているのは、請願・陳情の審査のときです。請願者本人が委員会で意見陳述を行えるように、参考人制度を利用しています。従来、請願の審査の際には紹介議員がその内容を説明し、請願者本人はその説明が本来の意図と異なっていたとしても、修正する機会は与えられませんでした。しかし、趣旨説明を請願者本人が直接行うことで、それらのずれがなくなり、請願者の意図を正確に伝えることができるようになりました。委員会としても、その場で質疑を行うことで理解が深まり、審査の充実が期待されます。また、通常は公式な発言として会議録に掲載されますので、質疑のやりとりなども確認することが可能になります。
請願者本人の意見陳述については「委員会を暫時休憩にして、休憩中に行う」、「委員会開始前に委員会協議会を開催してそこで行う」などの方法で意見陳述の場を確保している議会もありますが、そのやりとりは会議録に載りません。意見陳述を参考人として行うと、議会によってはインターネット中継され、会議録にも載りますので、請願者としては少々ハードルが高いと思いますが、きちんとした記録として残るという利点があります。
聴会の開催や参考人招致について注意することは?

「被告人はこちらの質問についてのみ、お答えください」。テレビドラマでよく見る裁判のシーンですが、公聴会や参考人招致においても、まるで同じような場面に遭遇することがあります。
通常の議会では、質問に対する答弁は執行部の幹部職員が行うため、議会という独特の雰囲気やローカルルールに精通した者同士による議論が、あうんの呼吸で行われているものと思います。しかし、公述人や参考人はそうではありません。基本的にはその地域に住んでいる方や請願者本人など一般の市民であり、その独特の雰囲気の中、大変な緊張を強いられています。当選後、初議会での一般質問をしたときの緊張感を思い返していただけたら、少しはご理解いただけるでしょうか。一般市民から見て、議員バッジを付けている人を目前にすると、「あっ、議員だ!」と一歩引いてしまうものです。その人たちから議会用語や行政用語をちりばめながら矢継ぎ早に質問されて回答を求められ、こちらからは質問することは許されません。そのため冒頭のように「まるで裁判における被告のようだ」という感想をお持ちの方が出てきてしまいます。
「郷に入っては郷に従え」のとおり、議会でのルールに合わせるのは当然ですが、議会での審査を深めるために公述人や参考人に議会で発言してもらっているのですから、発言を引き出しやすいような雰囲気づくりをするのは議会の義務ではないでしょうか。
いかがでしたか? 公聴会の開催についてはいささかハードルが高いものの、参考人の招致については意外と難しくないと感じた方も多いのではないでしょうか。予算の問題も生じてきますが、ぜひとも選択肢のひとつとして加えられればと思います。
さて、長い間ご愛読いただきました「みんなの議会事務局!」は次回で最終回となります。次回はこれまで触れられなかった内容について、いろいろと取り上げていきます。