地方自治と議会の今をつかむ、明日につながる

議員NAVI:議員のためのウェブマガジン

『議員NAVI』とは?

検索

2018.05.25 住民参加

第5回 地域の担い手を育み、支え、増やす若者議会〜愛知県新城市〜

LINEで送る

【インタビュー2】

若者議会の初代議長、竹下修平・新城市議に聞く

 新城市に若者議会が生まれるきっかけとその原動力となったのが、竹下修平さん(27歳)だ。竹下さんが大学4年生のときにイギリスで開かれたニューキャッスル会議で受けた衝撃的な体験が、結果的に、新城市の未来を大きく切り開くことにつながったのである。

若者議会出身の竹下修平・新城市議若者議会出身の竹下修平・新城市議

──2012年に開かれたイギリスでのニューキャッスル会議に参加したのは、どういうことからですか。
 2年に1度の国際会議に初めて(新城市から)若者も参加することになりまして、市が(参加する若者を)公募しました。そのとき私は大学4年生で、すでに就職先も決まっていました。国際交流に関心があって、面白そうだと思って手を挙げました。もともとまちづくりにそれほど関心があったわけではないのです。観光もできるかなと。他の3人も同じだったと思います。

──行ってみてどうでしたか。
 きつかったです。初日は歓迎会やパレードなどで楽しかったのですが、3日目から(若者部門の)会議やワークショップばかりとなりました。テーマは、自分たちが住むまちを盛り上げていくにはどうしたらよいかというものです。ホントにきつかった。その場で苦し紛れにとにかく話をしたという感覚です。英語の能力以上に自分のまちに対する思いや考え方、知識に問題があると痛感しました。(他の国の若者たちの姿を見て)自分たちはまずいんじゃないかと……。

──イギリスに行く前はそんな思いをするとは予想もしていなかったのですね。
 そうです。帰りの飛行機の中もつらかった。4人で今後どうしようかと真剣に話し合いました。帰国したら、まずはボランティア団体を組織しようという話になりました。それが4人で始めた「新城ユースの会」です。
 実は、この会を立ち上げる前から若者議会をつくりたいと考えていました。イギリスで若者議会の存在を初めて知り、その仕組みも聞きました。実際のイギリスの若者議会のメンバーから詳しく話を聞きました。新城市でもやりたいと思ったのですが、一気にはできないでしょうから、ボランティア団体での活動となったのです。

──その後、竹下さんたちは市民まちづくり集会の運営を担ったり、市民自治会議の若者政策ワーキンググループのメンバーになりました(穂積市長インタビューを参照)。
 そうです。このワーキンググループが若者議会の制度づくりを進めました。委員は20人で、公募です。「新城ユースの会」から5人、高校生や地域おこし協力隊員、それに市の職員も加わりました。外国の事例をまねせず、みんなで議論しながらつくり上げました。

──若者議会は2015年4月にスタートしました。竹下さんは1期生に名乗りを上げ、初代議長に就任しました。
 あのときは20人の公募に対し24人が手を挙げました。議長にも私を含め3人が立候補し、選挙となりました。全てが初めてで、何か課題が生じるとその都度、議長、副議長、事務局、メンター市民などが集まって話し合いました。ですから、若者議会の形が整ったのは2期目以降です。

──若者議会の任期は1年です。1期目が終了した後はどうしたのですか。
 第2期若者議会のメンター市民となりました。こちらも任期1年ですので、昨年(2017年)の3月末まで務めました。

──その後、市議選に立候補しましたが、何かあったのでしょうか。
 1人の市民、そして1人の会社員として生活をしながら、その合間にやるまちづくりに限界を感じたのです。時間的にできうる限り、本腰を入れて新城に関わりたいと思うようになりました。それに権限を持つ議員になれば、できることも違います。(市議選への出馬は)誰かに勧められてというわけではありません。むしろ、いろいろな方たちに“早いのではないか”と止められました。家族にも若者議会に関わった人にも地域の人たちにも、“若すぎる”“早すぎる”と反対されました。でもスピード感が大事だと思うのです。仮に30年(市議選に出馬するのを)待ったとして、そのときの新城市はどうなっているでしょうか。手遅れになってしまっていないかと考えました。

──そうはいっても、会社員になって5年目です。不安はありませんでしたか。
 確かに政治家は不安定です。4年に1度、就活しなければなりませんし、当選するかどうかは分かりません。とても不安定だと自分も思いましたが、仮に落選したとしても製造メーカーでシステムエンジニアとして働いていましたので、何とかなるのではないかと考えました。それで出馬を決意した後に、周囲の人たちにその旨を伝えたのです。そうしたら、勤務先も休職を認めてくれました。会社として初めてのことです。

──若者議会ではなく、本物の議会の選挙はどうでしたか。
 私はそれまで選挙の応援すらしたことがなかったので、大変でした。地方は地域色が強く、若い人だから応援するといった感じにはなりません。普通の会社員だった人が地方議員になるケースもほとんどなく、まして若い人なんてあり得ない。選挙を実際にやってみてハードルの高さを痛感しました。

──2017年10月に実施された新城市議会議員選挙で1,789票を獲得し、上から4番目の得票数で初当選しました。27歳で初の若者議会出身議員となりました。本物の議会の中はどうですか。
 会社員時代とのギャップが大きくて、議会の中に入ってみて改めて大変さを感じています。でも若い分、丁重にされているようにも思います。議員は期数で評価される面もあるようなので、2期、3期と積み重ねることが大事かと思いました。議員としてやりたいことは、システムエンジニアの仕事をしていたので、最新の技術をまちづくりに生かしたい。それから若い人が地元に残りたい、地元のために役立ちたいと思うようなまちにしたい。育ててくれた地域に恩返ししたい気持ちを若い人に持ってもらい、主体的にまちづくりに関わってもらえるようにしたいと思っています。

この記事の著者

議員 NAVI

今日は何の日?

2025年 424

全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)始まる(平成19年)

式辞あいさつに役立つ 出来事カレンダーはログイン後

議員NAVIお申込み

コンデス案内ページ

Q&Aでわかる 公職選挙法との付き合い方 好評発売中!

〔第3次改訂版〕地方選挙実践マニュアル 好評発売中!

自治体議員活動総覧

全国地方自治体リンク47

ページTOPへ戻る