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2018.05.10 コンプライアンス

第7回 選挙事務所、どうしてますか?

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(7)設置権者と事務手続
ア 設置権者
 選挙事務所を設置できるのは、地方議会議員選挙及び首長選挙では、候補者か候補者の推薦を届け出た者に限られます(130条1項4号)。
 そのため、勝手連のような団体や後援会は、上記の推薦届出者に当たらない限り、独自に候補者の選挙事務所を設置することはできません。なお、候補者1人につき1箇所ですので、候補者以外が設置した場合は、候補者自身は設置することができなくなります。

イ 設置に関する事務手続
 選挙事務所を設置したときは、設置した旨を直ちに選挙管理委員会に届けなければなりません。届出先は、市町村選挙ではその市町村の選挙管理委員会、都道府県議会及び知事選挙では都道府県選挙管理委員会及び選挙事務所の所在する市町村の選挙管理委員会となります(130条2項)。
 届出の書式については、届出事項・必要書類が決まっています(令108条)が、選挙管理委員会所定の書式等に従えば問題ありません。

ウ 標札の掲示(知事選挙のみ)
 知事選挙においては、選挙事務所の設置を届け出ると、選挙管理委員会より標札が交付されますので、選挙事務所の入口に掲示しておく必要があります(131条3項、同条1項4号)。

2 選挙事務所においてできること、できないこと
(1)選挙事務所で掲示できるもの
 選挙事務所では、その場所が選挙事務所であることを示すために、ポスター、立札、ちょうちん、看板の類を掲示することができます(143条1項1号)。

ア ポスター、立札、看板の類
(ア)使える数
 選挙事務所1箇所につき全部で3つまで(143条7項、1項1号)。
(イ)大きさ
 350センチメートル×100センチメートル以内(143条9項)。縦横が逆でも構いません。また、大きさは全体の大きさをいうのであり、ポスターや看板の文字が書かれた部分に加え、それをどこかに取り付けて掲示するための足や腕の部分もカウントされます。看板などをつくる際には、足等の長さも前提に大きさを考えて作成しましょう。
(ウ)記載事項
 記載事項については、選挙事務所を示すためのものといえる程度の内容である必要があります。それを満たす限り、候補者の写真やスローガンを掲示することもできます。単に政策・政見を記載しただけのものや、候補者の顔や活動の様子の写真を並べただけのようなものは、選挙事務所を示すためのものとはいえないでしょう。
(エ)掲示の場所
 掲示する場所は、公選法が「その場所において使用する」と規定しているとおり、選挙事務所があるその場所でなければなりません。「選挙事務所はあちら→」などと記載して路傍に置いたりすることはできません。
(オ)装飾など
 ポスター、立札、看板の周りをリボンや造花などで装飾することは、華美にすぎ選挙事務所を示すためのものとはいえないような態様でない限り可能です。
 その場合、装飾も含めて(イ)の大きさに収まる必要があります。
(カ)掲示の方法
 3つの組み合わせ方は自由ですので、看板を3つ作成することもできますし、ポスター、立札、看板をそれぞれ1つずつ作成することもできます。
 ただし、例えば候補者「●●■■」の氏名のうち、「●●」の看板と「■■」の看板を作成してつなげて使えば、合わせて1つの看板となります。したがって、つなげた全体が上記大きさの制限を超えないようにしなければなりません。
 それ自体が独立した1枚のものをつなげた場合は、それぞれが1つとなります。
 また、条文上書かれていませんが、隠れた要件として「立体感を持つものはダメ」というものがあります。そのため、看板3枚の側面をつないで立てておいたり、支柱に取り付けて回転させるなどの掲示方法は、立体感を有するものとして認められません。
 また、アドバルーン、ネオン・サイン又は電光を用いた表示やスライドその他の方法による映写等の類を掲示することはできません(143条2項)。昨今、店舗でよく使われているデジタルサイネージ(モニター上に店舗の情報その他いろいろな情報を表示する広告形式)も政策をアピールするには便利に思えますが、上記に当たるため使用できません。
 また、夜間、看板などをライトや蛍光灯で照らすことは可能ですが、周りを電球で囲って点滅させるなどの方法は、143条2項違反と解釈されています。この点は、前述の装飾が認められることとの違いに注意が必要です。

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