2018.04.25 議会事務局
第35回 議会の一年、議会の一日
専決処分になるタイミングは?

議会を開いて審議する時間的余裕がない場合、首長が専決処分をするという手続があります。首長に専決処分を濫用されると議会の存在意義がなくなってしまうので、あくまで例外的なものです。
前述の定例会のスケジュールのように議会を招集し、本会議を開いて議決するまでには1週間程度の時間がかかります。それよりも短い期間内に議決しなければならない事情がある場合に、専決処分をすることになるわけです。専決処分がされる例として典型的なのは、国の税法改正に伴う条例改正です。法改正が年度末ギリギリになると、その直後に議案を提出・審議して年度末までに可決する時間の余裕がほとんどなく、専決処分をすることがあります。
議決が必要な条例案などに限らず、本会議や委員会で報告するような案件なども、それを議会に知らせる時期が非常に重要です。意地の悪い執行機関だと、自分たちに都合の悪い案件の報告や公表は、あえて定例会の会期や所管の委員会が終わった後に行い、審議で追及されにくいようにしてしまいます。こんな議会対策に気づいて問題をあぶり出す質問を繰り出すのが、独自のアンテナを持った勘の鋭い議員です。
本会議の終了時間は決まっているの?

本会議の時間は午後5時までと規則で定めているのが一般的です。ところが、時々、夜遅くまでやっている議会がニュースになったりします。午後5時までという決まりは絶対厳守ではなく、時間を延長する手続をとれば5時以降に延ばせるからです。公務員の仕事が午後5時まででも、いつもその時間に帰っているわけではなく残業もあるのと同じです。
会議時間を延長するには、その旨を議長が告げなければいけません。会議途中のうまい切れ目で議長が言えればいいのですが、一般質問などで議員が長々と話している合間に5時を迎えそうになると、やむを得ず、発言の途中に言うことになります。事務局としては、いいタイミングで延長の発言を入れられるように気をつけるのも仕事のうちです。そんなことに悩むなら早めに延長しておけばいいかというと、そうもいきません。延長しておきながら5時前に終わってしまったら、延長した意味がなくなります。そもそも会議時間を設定しないという方法もあるのかもしれません。是非はともかく、会議が効率的に進むように意識しておくことは必要でしょう。
選挙直後のスケジュールは、普段とは違うの?

選挙直後は初めて議員になる方もいたりします。経験者ばかりであれば余計な前置きなしで、いきなり普段のサイクルで本会議を始めてもいいでしょうが、新人議員がいるとなれば分からないことだらけですから、いろいろと事前準備が必要です。
まず、初顔合わせがあり、そこで事務局から基本的な説明があります。議員バッジが渡され、当面のスケジュールが説明され、議員報酬の振込先の手続などもします。各議員がどの会派に入るか(あるいは入らないか)なども決めなければいけません。
一般的に会社や役所に入ると新人研修があります。新人議員はどうでしょうか。さすがに全く何もしない議会はそうないでしょうが、研修内容はまちまちです。自治体の主な事業を幹部職員が説明するところもあれば、議会運営の基本を説明するところもあります。ただ、いずれにしろ研修だけで全て把握できるわけもないので、そこは大変でしょうが、自分で意識して勉強するしかありません。その点、会派に入っていると先輩議員からいろいろ教えてもらえるという利点はあるようです。
いかがでしたか? 条例や予算など審議する中身はもちろん、それらを調査したり議論したりするスケジュールについても注意しなければ、効果的な議会運営を実現することはできません。次回は、「参考人・公聴会」について取り上げます。