2018.04.25 議会事務局
第35回 議会の一年、議会の一日
議会事務局実務研究会 大島俊也
自治体議員の皆様、こんにちは。第35回目の今回は、「議会のスケジュール」についてです。今まで取り上げた様々なテーマに関わる内容もありますが、今回はスケジュールという視点で見たときに浮かんでくる疑問にお答えします。
議会の1年間のスケジュールは?

行政のスケジュールは年度単位(4月~翌年3月)ですが、議会のスケジュールは暦年単位(1月〜12月)で、予算審査が中心の第1回定例会を3月頃、決算審査が中心の第3回を9月頃、それらの合間の6月頃に第2回、12月頃に第4回と、計4回開くのが一般的です。これら定例会がない時期に視察などを行います。通年議会でも一年中、本会議を開くわけではなく、定期的に会議を開く日を定めているので、スケジュールはあまり変わりません。
第1回定例会が予算議会として重視されるのは当然として、4月に人事異動がある自治体は異動後初めての議会になる第2回定例会も要注意です。新たな部署に着任した管理職がきちんと引き継ぎをされていないと、議員側は過去に約束させたつもりのことを新しい管理職は全く意識していないような事態も生じ得ます。念押ししてもいいかもしれません。
ちなみに、新年の仕事始めや新年度4月初日には、首長や幹部職員が議長や各会派に挨拶に回る慣習がある自治体もあります。筆者が議会事務局にいた当時、自席が議長室の入口近くだったので幹部職員がずらずら間近に並び、いささか落ち着きませんでした。
定例会の一般的スケジュールは?

まず開会前に、定例会を開く期日や会期中の運営の仕方などを事前に協議するための会議を、定例会の約1週間前に開きます。その後、本会議を開会して定例会の会期が始まり、一般質問や議案の説明・付託を何日間かで行うのが一般的です。一般質問を全議員が毎回行う議会は本会議の日数に変動はほぼありませんが、定例会によって一般質問を行う人数が変わる議会は、人数が増えると本会議の日数も増えます。
次に、委員会を開いて付託議案を審査します。複数の委員会を同時開催するか、別の日に開催するかは議会によって違うようです。同時開催した方が会期は短くてすみますが、首長などの特別職が全ての委員会には出席できなかったり、委員ではない議員が傍聴できなかったりします。一方、別の日に開催すると、それだけ日数が必要になって会期は長くなります。
委員会での審査が終わると本会議を開き、採決して定例会は終わるのが一般的スケジュールです。例外的に、追加の議案が提出されて委員会を再度開いたりすることもあります。
視察の時期は、いつが多いの?

視察は、決められた手続さえ踏めば、いつ行っても構いませんが、定例会で予算案や条例案を審議している途中で視察に行くということはほとんどなく、定例会と定例会の間に行くのが普通です。墨田区議会が他都市の議会の視察を受け入れた実績を見てみると、7月、8月、10月、11月が多いようです。ただ、7月や8月の視察は昨今の猛暑のせいもあって、一部の議員には不評だったりもします。
このように定例会の会期や地域の重要な行事日程の都合上、視察に行ける時期は偏りがちなもの。すると、ちょっと困ったことが起こります。自分の議会の視察日程と定例会の会期が同じ都市は、ほぼ毎年、日程が重なって視察先の候補から外れてしまうのです。また、いつも同じ時期にしか視察に行かないでいると、それ以外の時期を中心に行われている他都市の季節的な取組みや行事の現地視察もできません。