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2018.04.25 住民参加

第4回 議会会派が無作為抽出型の住民協議会を実施~神奈川県伊勢原市~

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住民協議会が議員活動を支え、強化する

 伊勢原市議会の会派「創政会」による無作為抽出型住民協議会は、実は今回が初めてではなかった。昨年(2017年)の2月と4月に「今後の公共施設のあり方」をテーマに実施しており(内容や経緯などについては山田昌紀市議へのインタビュー記事に詳述)、このときが議会会派主催として全国初の開催だった。さらに遡ること4年。「創政会」は2013年から会派として事業仕分けを計4回実施していた。
 ところで、無作為抽出型の住民協議会は何らかの結論を導き出すためというよりも、これまで行政や議会と接点のなかった住民がまちづくりなどを「自分ごと」として考えるきっかけになることを主目的としている。つまり、結論ではなく、プロセスに力点を置いているのである。しかし、議会の会派「創政会」が主催した昨年の住民協議会は、会派所属の議員個々に想定以上の効用をもたらせたという。これまで自分たちと全く接点のなかった住民の様々な意見を聞くことにより、驚きや発見の連続となったのである。「創政会」の議員は住民協議会での議論を議会での一般質問や提言などに活用したが、「市民の意見を担保している」ことから執行部に対する説得力がこれまでとは違ったものになったというのである。

議会として住民協議会を実施すべきでは

 こうした「創政会」の取組みに対し、他の会派に所属するあるベテラン議員はこんな指摘をしていた。
 「住民協議会は市民の声を聞くツールの1つとして良いと思うが、その成果をどうやってアウトプットするかが課題だ。創政会は議会での一般質問などに活用しているが、議会として提言するものとは重みが違う。議会として(執行部に)ものを言わないといけない。私たちは市議会の中に“まちづくり検討会議”を設置し、議会として政策提言することに力を入れています」
 なるほど、もっともな指摘である。日本の地方自治は二元代表制となっており、首長ら執行部と対峙(たいじ)するのは個々の議員や会派ではなく、議会だというのが建前となっている。その意味で、無作為抽出型の住民協議会を一会派が主催するのではなく、議会として開催するのが本来のあるべき姿であろう。もともと「創政会」の議員たちも他の会派とともに住民協議会を開くことを望んでいた。「創政会」の重鎮である小沼富夫議員(市議会議長)も「伊勢原市議会として住民協議会を開催できたらと、個人的には思っています」と、胸の内を明かしている。
 本来の役割をきちんと果たしている地方議会は、残念ながら、きわめて少ないといわざるを得ない。議会改革の必要性を訴える議会や議員はどこにも存在するものの、その多くがしがらみやもたれあい、足の引っ張り合いなどにより、体裁を整えるだけの形式的な改革に終始してしまいがちだ。議会として、無作為で選ばれた住民と真正面から向き合う取組みを開始するところが現れないものだろうか。

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