2018.04.10 広報広聴
第37回 議会報告会を「協議等の場」に加えるべきか?
実務の輝き
この記事を書くに当たって、田口一博「2008年地方自治法改正をめぐって(上)100条12項・議会活動の範囲の明確化と会議規則について」(自治総研2008年9月号)が大変参考になりました。同論文の73頁にはこんな記述があります。「まず、全員協議会をはじめとするこれまでのさまざまな会議や議会活動の内容を、標準会議規則が場の規定に求めている『名称』、『目的』、『構成員』、『招集権者』、『期間』(市議会159条3項)のみならず、運営方法、開催頻度、経費、事務局や執行機関との関係などを一覧表にまとめて検討してみるのが有用である」。一覧表をつくった後、議会での審議とどの程度「近い」か、「必須のものであるか」を基準に、会議規則に規定すべき協議等の場を切り出すのがいいでしょう。
それぞれの議会が議論した結果なら、他の議会と異なっても何の問題もありません。例えば、北海道浦幌町議会は、会議規則上に議会報告会や一般議会を規定していますが、協議等の場には加えていません。四日市市議会では、議会報告会など22の協議等の場が会議規則の別表に挙げられていますが、費用弁償条例では、あえて議会報告会を対象から除いています。それぞれの議会なりの議論と工夫の跡が見られます。
提言
「審査や審議」という言葉をたくさん使いましたが、これはやや議会の監視機能を重視したこれまでのイメージに引っ張られているきらいがあるかもしれません。審査や審議だけでなく、その延長線上で、政策提案することも議会の重要な役割です。となると、政策検討会のような政策立案の組織が議会基本条例で定められ、十分に機能しているなら協議等の場として規定してもいいでしょう。
「いろいろと新しい場をつくりたがるけれど、委員会の機能を高めたらできることもあるんじゃないの?」との意見もあります。例えば、議会報告会などは広報広聴委員会があるならそこで対応するとか、執行部への提案や政策立案を議会運営委員会で行うなどです。まさに正論です。ただ、これまでの正式な場が窮屈で使いにくかったので、新しい場が生まれたことも事実でしょう。特に政策立案の面では、会派の人数により委員の人数や審議時間などが割り振られる世界とは異なる部分が求められます。これまでの議会の慣例などがマイナスに働くことは十分考えられます。場当たり的に場を増やすのはいかがかと思いますが、議会基本条例などを根拠に新たな場をつくることは悪いことではありません。会議規則上、協議の場とならないこともあるかもしれませんが、その問題とは切り離して考えることが大切です。
(1) 松永智史「地方自治法の一部改正について」地方自治729号(2008年)131頁。
(2) 全国都道府県議会議長会と全国市議会議長会が示した標準会議規則では、協議等の場を「別表のとおり設ける」とし、別表には「名称」、「目的」、「構成員」、「招集権者」についての欄があるが、具体的な協議等の場の名前は挙がっていない。