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2018.03.26 住民参加

第3回 外国籍住民が自治を担う時代に ~愛知県西尾市~

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自治会役員を務める外国籍住民

 思いもしなかった外国人からの反撃に川部さんらは衝撃を受け、自治会運営に外国人住民の参画を求めることにしたという。外国人入居者にも自治会の役員になってもらい、日本人と外国人がペアとなって役を担う仕組みに変えたのである。その後、自治会の副会長を務める外国人が現れ、さらには外国人の自治会長も誕生している。現在、自治会の副会長は日本人と外国人による2人体制となっており、ブラジル人が副会長を務めている。
 川部さんは団地の自治会運営だけでなく、外国人住民を地域社会の構成員としてきちんと受け入れ、彼らと一緒になって地域づくりをする必要性を痛感するようになった。それで「外国人との共生を考える会」という住民団体を結成し、会長となった。2001年7月のことで、その年の1月に発生した阪神・淡路大震災がきっかけのひとつとなった。地域における防災活動に日本人も外国人もないからだ。地域住民など120人が会のメンバーとなった。
 川部さんらが設立した「外国人との共生を考える会」の活動は、緑町団地から町会、さらには小学校区、西尾市内へと広がっていった。会は2002年9月に地域で初めて国際化セミナーを開催し、その後、毎年の恒例行事へと育て上げていった。愛知県や西尾市、市教育委員会や市国際交流協会などが国際化セミナーを後援し、外国人との共生を目指して活動するNPO法人も協力している。外国籍の子どもたちの学習支援を行っているNPO法人「トルシーダ」だ。地域住民と行政、NPO法人や大学などが互いに連携しての多彩な取組みとなっている。
 今年2月24日に「地域の国際化セミナー in にしお 2018」が開催され、当日、会場は80人ほどの日本人と外国人の熱気で覆われた。セミナー開催を告知するチラシにはこんな呼びかけがつづられていた。

3時間に及んだセミナー。参加者による活発な意見交換の場に3時間に及んだセミナー。参加者による活発な意見交換の場に

 「西尾市には、現在8400人(H29.12.1)を超す外国籍住民が生活を共にしています。文化・習慣・言語の違う方々との地域活動は多くの困難が伴います。
 地域住民の高齢化が顕著な中で、外国籍住民も地域の構成員として共に地域活動に参加できる環境づくりがお互いに住み良い地域づくりに必要と考えます。
 外国籍住民の皆様と共に地域でできる事、彼らが自主的に活躍できる場をみつけるために、この機会に“多文化共生”について考えてみませんか。」
 地域の国際化セミナーは、愛知県の多文化共生推進事業の担当者による基調講演の後、パネルディスカッションと事例報告が行われた。愛知県立大学の松宮朝・准教授がコーディネーターを務め、7人のパネラーが席に並んだ。県と市の担当者と地元の代表、それに外国籍の住民が4人。このうち2人が緑町団地の住人だ。

パネラーとなった4人の外国籍住民。左から2人目が金子ヨシタカさんパネラーとなった4人の外国籍住民。左から2人目が金子ヨシタカさん

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