2018.03.26 議会事務局
第34回 議長の決め方
臨時議長って何?

改選後初めての議会では議長が選出されておらず、議事を進行することができません。そこで、自治法107条で出席議員のうち一番の年長者を臨時の議長とすることが定められており、臨時議長の下で議長を選出することとなります。
ちなみに、年長者の生年月日が同じだった場合はどうするのでしょうか? 実際に北海道江別市議会ではそのような事態が生じ、くじにより臨時議長を決定しました。年長議員が大変奥ゆかしい方であっても、会議に出席している以上は就任を拒否することはできません。年長者の議員が必ずしもベテラン議員というわけではないため、議会事務局長が臨時議長の名前を読み上げたときに議場からどよめきが起きることがあるのは「議会あるある」かもしれません。
なお、改選後初めての議会が行われるまでは議長ポストが空白になります。その間に議会を代表して何らかの行事等に出席する必要が生じた場合どうするのでしょうか? 議会によって対応は様々なようです。申し合わせや先例で、年長議員や前議長が出席するように定めている議会が多いのではないかと思います。また「その間の行事は議会代表が存在しないので出席しない」としている議会も存在しているようですが、危機管理の観点からも、必要な場合に誰が出席するかを決めておいた方がよいかと思います。
議長立候補制って何ですか?

近年、議会改革の流れで正副議長選挙の際、立候補を受付し、候補者が所信表明を行った上で投票を行うという「正副議長立候補制」を導入する議会が増加しており、全国で325市(39.9%)※が導入しています。立候補を受け付けるだけでは、事前に調整した議員が立候補するだけのことで、従前と何の変わりもありませんが、所信表明が加わると意味が出てきます。議長や副議長になったら何をしたいのかを明確にすることで、就任後の議会としての課題や優先事項が明確になります。
では、所信表明はどのように行ったらよいのでしょうか? 標準市議会会議規則61条では「選挙及び表決の宣告後は、何人も発言を求めることはできない」と規定されています。そのため、多くの議会ではいったん会議を休憩し、休憩中に行ったり、全員協議会などにして行ったりするなどの工夫をしており、本会議中に所信表明を行っている議会は28市しかありません。どのような形で行うにしろ、市民の傍聴を認めれば所信表明の意味はあると思いますが、会議の流れをスマートにして記録に残すためには、会議規則の改正に手をつけるべきではないかと思います。
※全国市議会議長会「市議会の活動に関する実態調査結果:平成28年中」