2018.03.26 コンプライアンス
第6回 楽しいイベント、うっかり違反にご注意を(その2:身内のイベント・選挙時のイベント編)
解説2 身内でも事前運動に注意しましょう
身内のイベントに参加する支援者の方は、普段から顔も合わせていて、公職者等にとっては家族のような関係かもしれません。しかし、そんな親しい支援者とはいえ、有権者である以上、公選法は平等に適用されます。
身内のイベントでは、一般の場合以上に公職者等の政策のことやこれからの活動のことで盛り上がり、話題になりやすいのはある意味当然なのですが、その中で特定の選挙のことを話すのは、「事前運動の禁止」(129条)との関連から慎重であるべきです。
実際問題、身内のイベントで事前運動があったとしても発覚するものなのかと思われるかもしれません。しかし、壁に耳あり障子に目あり。何かの拍子で表沙汰になることはありうるのです。
解説3 選挙運動期間中のイベントでは……
選挙運動期間中は、選挙運動の規制に関連して様々な制約が課されます。その中でもイベントに関わるものを見てみましょう。
1 戸別訪問の禁止(138条)
公選法は、選挙に関して投票を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもって戸別訪問することを一切禁止しています。
戸別訪問の「戸」とは、単なる有権者の住宅にとどまらず、会社事務所や工場なども含まれますので、イベントが公園など公共の開放スペースではなく会社の工場内や会社事務所で行われている場合には、その会場が「戸」となり得ます。
ただ、イベントなどに招待されて出席する場合には、上記の目的をもって訪問することはあまりないと思われます。問題は、自らイベント情報を得て飛び入りで参加するため訪問する場合です。その場合は形式上イベント参加目的ではありますが、実質的に握手や挨拶など当選のための選挙活動をする目的で訪問すれば戸別訪問となります。
2 幕間演説
工場や会社事務所などでのイベント訪問中、たまたまその場の来場者に向かって選挙演説をすることになった場合、その演説は幕間演説として認められます。もっとも、実際にはイベントの最中に選挙演説をする機会はなかなかないと思われます。
なお、演説場所については、公用・公共の建物内や病院・診療所の敷地など一定の場所ではできないことにも注意が必要です(166条)。
3 文書頒布制限(142条1項)
イベント会場では、支援者の方のみならず、多くの参加者と握手をしたり、相手から名刺交換を求められることがあると思います。
このような場合、選挙運動期間外であれば何ら問題はありませんが、選挙運動期間中は選挙の種類に応じて頒布できる文書の制限があります(142条1項3号〜7号)。
したがって、選挙運動期間中のイベントにおいては、求められても名刺を配ることはできません。また、街頭演説の場でもないため、ビラを配ることもできません。