地方自治と議会の今をつかむ、明日につながる

議員NAVI:議員のためのウェブマガジン

『議員NAVI』とは?

検索

2018.02.26 予算・決算

第1回 予算修正は議会改革の一里塚

LINEで送る

予算修正案の形式はおおむね2つ

 修正案のあり方をめぐって混乱が生じた後、今後の混乱を防ぐため、T市議会運営委員会では、予算修正案をいくつか取り寄せて調べた。板橋区の修正案もこの際に入手したものだ。
 この調査に加え、筆者が調べたものを加えると、予算修正案の形式は、大きく2つに分類できそうだ。1つは、筆者が作成に関わった形式のものである。これは、執行部が提出した修正案に、修正箇所の金額部分に二重線を引き、その上に修正金額を書き込む方法である(図2参照。同図は、T市議会の平成19年修正案をもとに作成した。図は1頁目のみを示しているが、実際には予算書全てにわたって該当箇所を修正している)。

図2図2

 この形式は、予算案全体の中でダメな部分を示す、いわばネガティブリスト形式である。例えば、筆者の平成19年の修正案の場合、補正予算は事項別明細書も含めて全37頁あり、修正案も、この全37頁の原案の変更箇所に二重線を引き、その上に修正金額を記入している。そのため修正案も、変更を加えてない頁を含めて37頁となった。松阪市議会に平成28年10月に提出された修正案もほぼ同様の形式だ。このネガティブリスト形式は、パソコンなどの機器が一般的でなかった頃には、合理性があったのだろう。執行部側の予算案に手書きで書き込むだけで修正案が作成できるので、ラクといえばラクである。
 しかし、ワープロソフトや表計算ソフトの使用が当たり前になり、修正案が容易に作成できるようになった現在、この形式による修正案はメリットよりもデメリットが大きいので、できれば避けた方がよいというのが筆者の見解である。
 もう1つの形式は、予算書全体の修正ではなく、修正を望む箇所だけを抜き出し、修正前と修正後の歳入歳出の金額を表形式若しくは文書形式で記載するものである。この形式は、図1のように、必要な部分だけを取り出したポジティブリスト形式である。
 この形式であれば、ネガティブリスト形式による修正案のように多くの頁を必要としない。単に、修正箇所のみを別途、抜書きすればいいのだ。パソコンによる文書作成が容易になった昨今、以前に比べて、議員側もそれほどの手間なく修正案を作成することができる。実は、平成29年3月定例会の補正予算案の修正提案に当たって、筆者も最初は、このポジティブリスト形式で修正案を作成した。その際に参考にしたのが、平成28年6月に、郡山市議会に提案された予算減額修正案であった。理由は、限られた時間の中で、ネット上で適当な修正案が見つけられなかったことと、前回の修正案提出から10年もたっていたため、予算修正の詳細な方法を忘れてしまっていたからだ。
 しかし、様々な経緯があり、結局は10年前とほぼ同様のネガティブリスト形式に変更した。この変更が、その後、混乱を惹起(じゃっき)してしまった。修正案が可決された後、市長から議会に対して再議を求める「再議書」が提出された。この「再議書」は皮肉なことに、該当箇所を抜き出したポジティブリスト形式で議会に提出された。当然、頁数は1頁。筆者の作成したネガティブリスト形式の修正案は11頁あった。執行部側が再議書をポジティブリスト形式で提案した以上、今後は、議会側もポジティブリスト形式による修正案を提出しても問題がないことが改めて確認できた。調べた範囲でいえば、このポジティブリスト形式の事例が、現在は多数派のようである。

この記事の著者

議員 NAVI

今日は何の日?

2025年 425

衆議院選挙で社会党第一党となる(昭和22年)

式辞あいさつに役立つ 出来事カレンダーはログイン後

議員NAVIお申込み

コンデス案内ページ

Q&Aでわかる 公職選挙法との付き合い方 好評発売中!

〔第3次改訂版〕地方選挙実践マニュアル 好評発売中!

自治体議員活動総覧

全国地方自治体リンク47

ページTOPへ戻る