2018.02.26 議会事務局
第33回 知らなきゃ議会のルールは分からない、「申し合わせ・先例」
申し合わせや先例を守らないとどうなるの? 取扱いを変えてはダメなの?

申し合わせも先例も、法律や条例ではないので、「守らないと違法」とまではいえません。ただ、申し合わせは、議会内で合意して決めているはずですから、先例より拘束力は強いと考えた方がいいでしょう。理由があって申し合わせを決め、先例も存在するわけですから、あえて守らなかったとすれば混乱が生じることも十分にあり得ます。
どうしても従来の申し合わせや先例を適用するのに納得できないときは、あらかじめ議会内で提起し、きちんと議論すべきです。前述のように、今回の事態が申し合わせや先例を適用する必要がないケースだと判断されれば、違う取扱いができることになります。場合によっては、申し合わせを改正することにもなるかもしれません。これらは議長を中心に幹事長会などで協議するものでしょうから、取扱いを変えたければ議長や幹事長に相談するのが筋です。それではハードルが高いので、もう少し前段階で感触を確かめたければ、事務局に相談しましょう。
申し合わせや先例は、あらかじめ見られるの?

申し合わせは議会で話し合って合意した内容を文章化しているはずですから、もし手元になくても、事務局に頼めば必ず見られるはずです。
先例は、数十年の議会の歴史の全てをあらかじめ把握して見られるようにしておくことは不可能かと思います。実務上は、あらかじめ典型的な先例や重要な先例を選び出して、先例集として記録しておくことが多いようです。
各議会の実態としては、おそらく3つあります。①議会内で公式に先例集を作成・共有している場合、②事務局内の職員レベルで先例集を作成・共有しているが、公式な決定・共有まではしていない場合、③先例集は作成せずに関係者の記憶やケースごとの調査に頼っている場合、です。①や②のように先例集が整備されていれば理屈としては見られるはずですが、②の場合はあくまで事務的な資料なので公開するかは各事務局の判断によります。③の場合は、そもそも先例集が存在しないので、見ることは不可能です。
ところで、先例集にない先例は、どう調べると思いますか。過去数十年の会議録を事務局職員がアナログにひたすらめくって、先例があるか探すのです。ウンザリする作業を乗り越え、探していたケースに当てはまる先例を発見できたときは、ちょっと興奮します。そんなふうに感じてしまうのは、自分のようなマニアックな職員だけかもしれませんが。
いかがでしたか? 議会運営に精通するには、法律や条例だけでなく、申し合わせや先例をいかに理解し、使いこなせるかが重要です。次回は、「議長選挙」について取り上げます。