2018.01.25 議会事務局
第32回 住民参加できますか?~議会の傍聴~
新しい傍聴対応の動きって?

先に述べたとおり、傍聴規則を見る限り、傍聴者が歓迎されているムードではありません。しかし、議会の住民参加の入り口に当たる傍聴ですので、もう少し敷居を下げるべきではないでしょうか。
議会改革を行っている議会では傍聴改革に関しても力を入れ始めています。例えば、「傍聴券の廃止(傍聴人名簿の記載なし)」、「自由な録音・撮影の許可」、「パソコンの持込み」などの取組みが挙げられます。裁判所の傍聴でも住所や名前の記載は必要ないのですから、傍聴人名簿の記入廃止などは手をつけやすいのではないでしょうか。完全なフリーでの入退場が望ましいのはいうまでもありませんが、事務局的には傍聴人数と再入場者の把握をしたいという思惑もあることから、傍聴券の交付は現段階では残しておきたいところです。撮影やパソコンの持込みについても、インターネットで議会中継を行っている議会が半数近く※あることから、それを拒否する理由は乏しくなっているのではないでしょうか。あまりにも激しくキーボードをたたく傍聴者がいたら、議長が注意すればよいのです。
傍聴改革は議会改革のメニューの中では比較的地味に感じられますが、予算がかからず、それでいてほとんどの市民が改革の効果を直接的に受けられるものになりますので、費用対効果は大変高いものと思います。
※全国市議会議長会「市議会の活動に関する実態調査結果:平成28年中」
傍聴席から議員はどのように見える?

皆さんは傍聴席に座ったことがあるでしょうか? 意外と傍聴席に入ったことがない議員は多く、また実際の会議中は議場にいますので、傍聴席から議員がどのように見えるのか分かりにくいものです。
議会事務局にいると、会議中に傍聴席に入ることもありますし、また傍聴者から様々な苦言をいただくことがあります。よくある苦情が、議員が「寝ていた」、「他人の質問などを全然聞いていない」、「スマホでゲームをしていた」、「メールをしていた」、「サンダルを履いていて見苦しい」などです。とはいえ、当の議員はそこまで見えているとは思ってもいないようで、そのことを伝えるとびっくりしたりもしています。
傍聴席からは、議員が思っている以上に何をしているのかがよく見えます。こそこそと隠れて何かをやっていれば、傍聴席からはすぐに分かってしまうのです。教壇に立っている学校の先生からは、生徒がこそこそとやっていることは、実はとてもよく見えているのと同じくらい、バレバレなのです。意外と市民は見ていますので、ご注意ください。
いかがでしたか? 傍聴に関する決め事については長い間手をつけていない議会が多く、旧態依然としたままです。インターネット配信も大事ですが、議会開会中に議場までわざわざ足を運んでくれる傍聴者への対応がどれくらい手厚いかが、議会の住民への姿勢を表すものと思います。さて、次回は先例、申合せを取り上げます。