2018.01.25 議会事務局
第32回 住民参加できますか?~議会の傍聴~
子どもは入れない?

ほとんどの議会では、小学生以下の子どもの傍聴を認めていません。しかし、保育園問題など子育て関係の請願等が出た際に、子連れの保護者が傍聴に訪れることがあります。傍聴規則にのっとって、子どもの傍聴を断るという対応をとる議会もあると思いますが、子育てに理解のない議長(委員長)だと市民に思われかねません。標準市議会傍聴規則を見ると、ただし書で「議長の許可を得た場合はこの限りでない」とあり、議長(委員長)が許可すれば子どもの入場も可能になります。
以前、保育園に入れない保護者が全国の議会に請願を出したことがありました。赤ちゃんや幼児を連れた保護者が多く傍聴に訪れることが予想できたときは、事前に議長や委員長に伺いを出しておき、「泣き出したり騒ぎ出したりしたら一度退場してください」とお願いをした上で入場を許可しました。保護者がいない場合はともかく、保護者がいれば子どもが傍聴席に入ることはそんなに大きな問題にはなりません。
また、最近の議会では、議場の改修時に親子傍聴室を設置する議会も増えています。ガラス張りの防音設備を完備した個室になったりしており、多少騒いでも他の傍聴者に迷惑がかからないようになっています。ただ、稼働率という点ではなかなか苦戦しているようです。
傍聴規則が古くさいのはなぜ?

議会事務局に異動してきた職員あるあるで、傍聴規則を見て笑ってしまったというものがあります。傍聴席に入ることができない者、傍聴人の守るべき事項として「異様な服装をしている者」、「笛、ラッパ、太鼓その他楽器の類を持っている者」、「談論し、放歌し、高笑しその他騒ぎたてないこと」、「帽子、外とう、えり巻の類を着用しないこと」など、なかなか普段お目にかからない単語が並んでいます。全国市議会議長会が示している標準市議会傍聴規則でこのように定められているため、そのまま各議会でも定められています。
さて、傍聴規則を見て何か感じませんか? 多くの議会では議会改革の大号令の下、議会に関心を持ってもらう、傍聴数を増やすことを目的として様々な試みを行っていることと思います。しかし、多くの議会の傍聴規則からはそのような意図は感じられません。もっといえば、傍聴規則には、身分を明らかにするなど、禁止事項が非常に多く、まるで傍聴者を信用していない条文が並んでいます。
実は、「傍聴規則」の前身は「傍聴人取締規則」という名称でした。例えば、品川区議会では、昭和43年にやっと傍聴人取締規則から傍聴規則に改正され、題名が変更されています。しかし傍聴規則となっても、内容は取締り感が強く感じられるものとなっており、今日までそれが継続しているのが各地の傍聴規則の正体です。なお、現在でも傍聴人取締規則という名称を用いている自治体も、少数ですが存在しています。安保闘争の時代であればともかく、現代議会においては合わなくなっている条文が多いように思われます。