2017.12.25 議会事務局
第18回 議会事務局の新たな役割――議会との二人三脚による住民自治の進化・深化――(下)
【議会アドバイザー・サポーター制度〔①②③〕】
議会サポーターは栗山町議会基本条例に規定されて、全国に広がった。サポーターという名称ではなく、専門的なコメントを期待してアドバイザーという名称が広がっている。
筆者の経験では、栗山町議会の場合は条例制定などの課題について当地に出向くだけではなく(総合計画の策定と運用に関する条例、自治基本条例等)、メール・電話等(議員定数等)で相談を受ける場合がある。栗山町議会と同様に、数人規模で配置しているのは北海道芽室町議会である。議会改革だけではなく、政策にも活用したいとして専門分野は広範である。それに対して、筆者だけの場合もあるが(山陽小野田市議会)、それはまず制度化を行い、今後充実させるためであろう。
【附属機関の設置〔①②③〕】
議会基本条例の規定に基づき附属機関を設置したことで有名なのは、三重県議会である(議会改革諮問会議)。その後、全国に広がっている。芽室町議会(議会改革諮問会議)、北海道福島町議会(議会基本条例に関する諮問会議)などである。なお、三重県議会の附属機関(筆者は会長としてかかわった)でも、委員に対して報酬ではなく報償費を交付している(地方自治法204条の2を考慮したためであろう)。今後議論すべき論点である。
【大学との提携〔①②③〕】
山梨学院大学ローカル・ガバナンス研究センターと山梨県昭和町議会が提携を行ったことを機に、全国に広がっている。計画的な研修や学生からの議会・議員への提言が毎年行われている。複数の大学との連携を行っている議会もある(大津市議会:龍谷大学や同志社大学)。また、都道府県レベルの議長会と大学が提携をした、山梨県町村議会議長会と山梨学院大学ローカル・ガバナンス研究センターでは、計画的研修とともに、研究会の設置(小規模議会のあり方等)などが行われている。
【議会モニター制度〔①②④〕】
議会モニター制度は、四日市市議会で始められたものであり、全国に広がっている。四日市市議会では、当初、四日市大学の学生との意見交換から始まったが、対象者は学生だけではなく広がっている(栗山町議会、福島町議会等)。すでに指摘した芽室町議会改革諮問会議は、議会モニターを経験して議会という場を理解した者が主に委員となっている。
【議会だより編集を住民に依頼・議会だよりモニター制度〔④〕】
議会だより編集を住民に依頼してもよい。学生に議会だよりのレイアウトや文章のアドバイスを受けたり、学生が議員に質問する「教えて!議員さん」コーナーを設けた議会もある(熊本県大津町議会:尚絅(しょうけい)大学との連携、『大津町議会だより』第71号、2015年2月2日)。その後、学生は議会傍聴をして、それを学生によるレポートとして議会だよりで掲載している(「議会に行って来ました――尚絅大学の学生による議会傍聴レポート」(2017年11月11日号までで10回)、第10回は、議会だより編集者へのインタビューが掲載されている)(4)。議会と尚絅大学文化言語学部との提携によるものである。
学生に議会を傍聴してもらい、議会の感想及び「議会だより」のコメントをもらってそれを紙面に生かすこともできる(熊本県御船町議会:熊本大学学生(新聞カフェ))(5)。
また、議会のホームページ作成に当たって住民の意見を積極的に取り入れた議会もある(千葉県流山市議会)。議会だよりモニター制度の活用によって、住民に身近な議会改革や議会への関心を創出しようとする議会もある(長野県飯綱町議会)。
【提携による議会図書室機能の充実〔①②③④〕】
公立図書館との連携(鳥取県議会)、行政資料室との連携(東京都立川市議会)、大学図書館との連携(大津市議会と龍谷大学)などがあり、議会図書室機能の充実を図っている。
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共同による議会事務局機能の充実と地方自治法上の共同設置は、言葉は似ているが別物である。第31次地方制度調査会答申で二度にわたって強調されている共同設置は、自治を弱体化させる。