2017.12.25 議会事務局
第31回 議員の真剣勝負を書き残す「会議録」
会議録署名議員の署名って、何のためにするの?

自治体議員の方ならば、会議録署名議員に自分が指名されたり、他の議員が指名されたりするのを経験していることでしょう。会議録署名議員が、指名された会議の会議録にする署名は、その会議録に誤りがないことを保証するためのものです(地方自治法123条2項、3項)。
つまり、理屈上は、その会議録に書かれた文章を理解した上で署名するのが前提といえます。会議に出席して居眠りせず聞いていたことを保証するのではなく、その会議の内容が正確に文字として書かれていることを保証するわけです。厳しいことをいえば、署名する会議録はしっかり読み込んでいるべきとも考えられますが、実際は全文を読み込んでから署名するのではなく、事務局職員が作成した内容に全幅の信頼を置いて署名する方がほとんどかと思います。ただ、「この会議、ちょっともめたやりとりがあって気になるから読ませて」といって、読んで納得してから署名する方もいます。
ヤジも会議録に書き残すの?

ヤジ(議会用語では「不規則発言」)は原則として会議録には書き残しません。決められた手順を守っていない不規則な発言を、正当な手続を経た発言と同等に扱ったら、やった者勝ちになってしまいます。ヤジを言った人を議長が注意すれば、議長の発言は正式な発言として会議録に書き残されるため、その発言をした背景が分かるように、ヤジの中身や発言者名は書かずに「発言する者あり」などとだけ表記するのが一般的です。
困るのは正規の発言をしている議員がヤジに受け答えをした場合です。「うるさい!」と言い返すぐらいなら「発言する者あり」ですみます。しかし、「AなのかBなのか」と詰問してきたヤジに「Bだ」と答えてしまうと、ヤジの中身を書き残さないと正規の発言者の言葉の意味が通じません。この場合、ヤジを言った人の名前は書かず、「『AなのかBなのか』と発言する者あり」などと表記します。珍しい例として、ヤジを繰り返す一議員にあえて言い返し、「C議員、うるさいですよ」と名指しで発言して、その議員の名前が会議録に残るようにしたという事例もあるようです。