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2017.11.27 議会事務局

第30回 物置小屋ではもったいない議会図書室

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使える議会図書室にするには?

男性

 「議員の調査研究に資する議会図書室」のあり方については、図書館関係者や大学関係者などからも様々な議論があります。理想は予算を増やして蔵書数を強化し、専門の司書を配置する、また、ホームページ上に電子議会図書室を公開し、可能な資料は電子化して掲載していくことも求められるでしょう。
 しかし、当然ながらそれには先立つものが必要であり、現実的になかなか踏み込める議会は多くないと思われます。そこで、予算をかけずに機能を上げていく方法として、近年の王道としては、議会図書室を外部の専門的知見を集積させる場として位置付け、公立図書館のレファレンス部門や大学図書館と連携していく方法が挙げられます。議会図書室で公立図書館や大学図書館のサービスを受けられるようにするのです。
 とはいえ、そんなことをしなくても議員自ら地元の公立図書館に依頼すれば、レファレンスサービスは受けられると思います。一体何が違うのでしょうか? 往々にして議員は忙しいので、議会事務局に調査の依頼をするときも非常に簡潔な言葉で依頼することが多く、それを受ける側の事務局職員は、その言葉の裏に含まれた真意を理解する必要があります。そのため、事務局職員は、最近の一般質問や市政の状況から真意を判断した上で調査票を作成しています。しかし、議会に精通していない公立図書館ではそういった判断はなかなかできないため、依頼者の意に沿った調査が毎回できるか不安です。そこで、依頼者の意に沿った結果が得られるように、依頼者とレファレンスサービスとの間に議会人としての筋肉を身につけた職員が入るのです。自ら調査を依頼するよりも満足度の高い調査研究結果が届くのであれば、議会図書室の存在が輝き始めると思いませんか?

議会事務局が行う調査と何が違うの?

女性

 議会事務局には調査部門が通常設置されており(他の業務と併任なのがほとんどですが)、そこで議員からの調査依頼を受け付けています。事務局職員は議会の「土地勘」をよく分かっていますので、多くを語らなくても依頼内容の背景を判断した上で調査します。事務局職員の調査は、現場への聞取りが主であり、最新の知見やまだ公にはできないような情報も仕入れることができます。
 しかし、文献調査はほとんど行われていないようです。ここに議会事務局の調査機能と図書館の司書的見地からの調査機能に違いが出てくるのです。図書館司書は文献調査が強みであり、例えば新規条例案が提案されたときに、すでに制定済みの自治体の同様な条例案との比較表を依頼することができます。また、同様な事例による失敗例を得たりすることができるなど、事務局職員とは異なったベクトルで調査を行います。それぞれの調査結果を組み合わせることによって、調査結果に厚みが増し、市長部局と対峙(たいじ)できる強い議員、強い議会が構築されていくことが期待されます。

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