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2017.11.10 コンプライアンス

第3回 見られていますよ「街頭演説」

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(5)選挙運動に従事する者
 街頭演説において、選挙運動に従事する者は候補者1人につき15人以内に限られます。この中には、労務提供をするだけの者も含まれますが、候補者本人と選挙運動用自動車の運転手1人又は船舶の船員は含まれません(164条の7第1項)。
 つまり、街頭演説では、候補者と運転手1人又は船員を除き、応援弁士であろうと場所取り係であろうと、合計15人までにしなければなりません。
 また、この15人については、街頭演説の際、選挙管理委員会の定める腕章をつける必要があります(164条の7第2項)。15人の制限を守っていても、腕章をつけていなければ公選法違反となります。

●解説3:街頭演説でできること、できないこと

20171110_5_1

(1)連呼行為
 街頭演説の場所では、演説者・選挙運動に従事する者いずれも連呼行為をすることができます(140条の2第1項)。ただし、学校及び病院、診療所その他の療養施設の周辺では、静穏を保持するよう努めなければならないため、事実上制限されます(同条2項)。

(2)拡声機の使用
 街頭演説において、拡声機が使用できますが、一そろいに限られ、かつ選挙管理委員会の定める表示が必要です(141条1項1号、同条5項)。

(3)録音盤の使用
 街頭演説において、録音盤を使用して流す(演説する)ことができます(164条の4)。ここでいう録音盤とは、音声を録音して再生する装置であり、現在でいえば音声ファイルSDカードなどに音声ファイルを保存し、それをノートパソコンで再生するような場合も含まれると考えられます。
 なお、再生においてスピーカーなどを使用して音声を肉声よりも増幅する場合には、拡声機の使用となるため、上記の要件を満たすよう注意が必要です。

(4)ビラ等の配布
 国政選挙では、一定の条件の下、142条1項1号~2号の定めるビラや142条の2第1項の定めるパンフレットや書籍を、首長選挙では、街頭演説の場所において選挙運動用ビラを配布することができます(142条1項3号、5号~7号、6項、公選法施行令109条の6、142条の2第2項)。
 しかし、地方議会議員選挙においては、このような規定はなく、ビラ等を配ることはできません(142条1項4号~7号)。
 なお、平成29年の公選法の改正により、平成31年3月1日以降に告示される都道府県議会及び市議会議員選挙では、一定の条件を満たすビラを配布できるようになります(町村議会議員選挙においては、今回の改正でも配布は認められていません)。

(5)文書図画の掲示・回覧等
 選挙運動期間中に掲示することができる文書図画について、公選法は規制を設けており(143条)、街頭演説においては候補者が使用するたすき(同条1項3号)と選挙運動用自動車・船舶に取り付けて使用されるポスター、立札、ちょうちん及び看板の類(同条1項2号)に限られます。
 また、公選法は文書図画等の回覧を頒布とみなし、原則として禁止しています(142条12項)。認められるのは、選挙運動用自動車・船舶に取り付けられた文書図画を取り付けたまま回覧すること及び候補者がたすき、胸章及び腕章の類を着用したまま回覧することに限られます(同条)。
 回覧には文書図画を身につけて持ち歩くことも含まれますので、選挙運動に従事する者が街頭演説中に着用する腕章を街頭演説終了後もつけたまま移動することは、上記の例外に当たらないためできません。
 さらに、知事選挙に限っては、164条の2第2項、5項により、個人演説会の会場に表示する立札・看板の類については、個人演説会用に使用しないものについては会場外のいずれの場所においても選挙運動に使用できますので、事実上、街頭演説の場所に掲示しておくことができることになります。

(6)候補者以外の者による演説
 街頭演説では、演説者は候補者に限られていません。そのため、候補者がいなくても街頭演説は可能であり、腕章をつけなくてよい選挙運動用自動車の運転手も演説することができます。
 もっとも、運転手は労務者のため報酬を支払うことができますが、演説等の選挙運動をした場合、選挙運動員となるため当日の報酬を支払うことはできないと考えられます(197条の2)。

(7)気勢を張る行為
 選挙運動の静穏等を守るため、公選法は選挙運動のために気勢を張る行為を禁止しています(140条)。
 公選法は条文で、「自動車を連ね又は隊伍を組んで往来する等」と例示をしていますが、具体的に何が「気勢を張る行為」に当たるかは、それぞれの行われた状況や態様によって判断されることになります。
 先例では、かんしゃく玉を破裂させたり、チンドン屋を使うことなどが「気勢を張る行為」に当たると判断されていますが、これを踏まえると、通常の選挙運動の範囲を超え、周囲の平穏を害し又は不安を生じさせるような行為をいうと考えられます。

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