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2017.11.10 コンプライアンス

第3回 見られていますよ「街頭演説」

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弁護士 金岡宏樹

 連載第3回目。筆者がこの原稿を書いているのは、衆議院議員総選挙の真っ最中。あちらこちらで選挙カーからの声が聞こえてきて、熱い選挙戦が繰り広げられています。
 今回は、街頭での選挙運動の典型ともいえる「街頭演説」に関わるQ&Aを検討したいと思います。
 なお、今回は、地方議会議員・首長選挙時における候補者個人の街頭演説について述べていきます。

Question

Q1選挙告示日の朝7時過ぎから、候補予定者が地元選挙区域内の駅前にて、「本日より選挙戦。頑張ります。ご支援をお願いいたします」と立礼しながら個々の通行人に挨拶をすることはできますか。

Q2選挙告示後、標旗が届く前に選挙事務所の前で、集まってくれた支援者に対してトップ当選に向けた支援のお願いや選挙の抱負などを話してしまいました。その後は標旗を掲げたのですが、問題はないですか。

Q3駅のホームがよく見渡せる公園で、ホームで電車待ちをしている人に向かって演説してもよいですか。

Q4私の選挙の選挙運動期間中、ちょうど国政選挙があったので、その投票日に投票所近くの歩道上から投票所に行く有権者に向かって演説することはできますか。

Q5夜8時を過ぎてから、候補者が選挙事務所内にて、事務所の扉を開けて演説することはできますか。

Q6街頭演説の際に配ることができるものは何ですか。

Q7街頭演説に際し、候補者名や政党名を記載したのぼりをたくさん立てたり、選挙運動用ポスターを手に持って掲げて聴衆に示すことはできますか。

Q8街頭演説において、有権者に向かって手を振ったりビラを配ったりしないスタッフ(設営係や交通整理係)は、定められた腕章をつけなくてもよいですか。

Q9街頭演説を終えて次の場所に向かう際、たすきや腕章をつけたまま自転車で移動しましたが、問題はありませんか。

Q10候補者がいないときに、選挙運動員だけで街頭演説をすることはできますか。

Q11たくさんの場所でアピールできるよう、選挙運動員がいくつかのグループに分かれて同時に街頭演説をすることはできますか。

Q12街頭演説を目立たせるため、街頭演説の前後で政策を織り込んだ自作のオリジナル曲をテープで流しながら選挙運動員とともに大声で合唱することはできますか。

Answer

A1設問の態様の場合、立候補届出前の選挙運動に当たると考えられ、事前運動に該当し許されないと考えられます。

A2設問の行為は選挙運動のための街頭演説ですが、その際は選挙管理委員会の定める標旗を掲げなければならず、標旗を掲げるまでになされた街頭演説はこれに違反することになります。

A3街頭演説を公園で行うことはできますが、駅敷地内ではできません。専らホーム上の人に聞かせる目的で街頭演説を行ったような場合は、禁止場所の規制を潜脱するものとして許されないと考えられます。

A4他の選挙の投票日には、その投票所設置場所の入口から直線で300メートル以内の区域では、投票時間中に街頭演説をすることはできません。設問の場合、投票時間中と考えられますので、この条件を満たす場合、公職選挙法(以下「公選法」といいます。また、この条文を指摘する場合、その条名等のみを記します)違反となります。

A5事務所の扉を開けたことが屋外にいる人に聞かせる目的であれば街頭演説に当たり、午後8時以降はできません。

A6街頭演説の場所では、首長選挙では選挙運動用ビラを配布することができますが、地方議会議員選挙では何も配ることができません。

A7街頭演説においては、候補者が使用するたすきと選挙運動用自動車・船舶に取り付けて使用されるポスター、立札、ちょうちん及び看板の類に限り掲示することができます。そのため、設問のような行為は、許されない文書図画の掲示に当たり、公選法違反となります。

A8街頭演説を行うに当たって、「選挙運動に従事する者」は15人以内かつ選挙管理委員会の定める腕章の着用が義務付けられています。この「選挙運動に従事する者」には労務者も含まれるため、設問の設営係や交通整理係であっても腕章をつけなければなりません。

A9「選挙運動に従事する者」が腕章をつけたまま移動することは文書図画の回覧行為とされ、公選法上認められません。ただ、候補者のたすきは例外として回覧行為が許されていますので、つけたまま移動することができます。

A10街頭演説においては、候補者がいなくても街頭演説をすることができます。

A11街頭演説を行う際は、選挙管理委員会の定める標旗を掲げなければなりませんが、地方議会議員及び首長選挙では標旗は1本しか交付されませんので、複数の場所で同時に行うことはできません。

A12録音テープを街頭演説で使用することはできますが、目立たせる目的で選挙運動員とともに大声で合唱するような場合は、気勢を張る行為として公選法違反となるおそれがあります。

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