2017.10.25 議会事務局
第29回 議員が寄れば文殊の知恵か……委員会
2つの委員会にまたがりそうな案件は、どうするの?

案件によっては、福祉でもあり教育でもあるというように、所管が2つの委員会にまたがりそうなものがあります。首長提出議案なら所管部署がどこかによって、おのずと付託する委員会も決まりますが、議員提出議案や請願・陳情の場合、そうはいきません。
大前提として議案は分割付託できないという「議案不可分の原則」があり、無理矢理でもどこか1つの委員会に付託することになります。一部の自治体議会では、この原則とは異なり分割付託をしているところもあるようですが、これは原則とは異なる取扱いです。
さて、A委員会とB委員会にまたがりそうな案件をA委員会に付託すると決めた場合でも、B委員会としては、A委員会と合同で調査・審査するため、標準市議会会議規則103条に規定されている「連合審査会」という方法が使えます。ただ、これだと議論するメンバーが倍に増えてしまいますし、どちらの委員会を「主たる委員会」と位置付けるかなどの手続上の問題もあってか、実際はあまり活用されていないようです。
自治体や議会の不祥事などを特に取り上げたいときはどうすればいいの?

首長や一部議員のスキャンダルなどの事件が起きると、自治体議会では「真実の追求」や「責任の追及」が強く叫ばれます。「100条委員会だ!」との声が上がることも。
議会における委員会で取り上げたい場合、次のパターンが考えられます。①既にある委員会の所管事項の中でいつもどおり扱う、②問題となっている案件を所管する特別委員会を新たに設置して通常の範囲内で調査する、③100条調査権(自治法100条1項)を①又は②の委員会に委任して、いわゆる「100条委員会」として取り扱う。
①の既にある委員会で扱うのは一番簡単な方法です。ただ、大きな事件の場合、多くの議員が議論に加わりたいでしょうから、既に設置されている委員会で扱う場合、これに対応しにくいのがデメリットかもしれません。②の新たに特別委員会を設置する方法であれば、その案件を議論する最適なメンバーを選任し、一段落したら特別委員会を終えることもできるので、扱いやすい方法です。
では、③の100条委員会は、どうでしょう。これは偽証の告発にもつながる強い権限がある委員会だからこそ、「三人寄れば文殊の知恵」のはずの委員会が、両刃の剣を各委員が振り回した結果、敵味方もろとも傷を負ってしまったりします。某国のミサイルと某国の制裁のやりとりのようなもので、カッとなって拳を振り上げてみたのはいいけれど、下ろす先が分からず困り果てるという事態になりかねません。やるなら相当の覚悟が必要なものと思ってください。
いかがでしたか? 次回は、自治法に規定されているにもかかわらず、議員の皆さんから忘れられがちな「議会図書室」について取り上げます。