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2017.08.25 議会事務局

第27回 議会としての意思表明、「意見書・決議」

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議会事務局実務研究会 大島俊也

 自治体議員の皆様、こんにちは。第27回目の今回は、「意見書・決議」についてです。「意見書・決議」は、おそらく多くの自治体議会で頻繁に議決している議員提出議案のはず。そんな「意見書・決議」について、今さら聞けない疑問に答えてみたいと思います。

意見書と決議って、そもそも何ですか?

男性

 意見書とは、自治体の公益に関する事件について、自治体議会の意思、つまり「〇〇について△△してほしいと私たち議会は考えています」といったことを国会や国の官公庁、都道府県に表明するために議決して提出する文書です(地方自治法(以下「自治法」という)99条)。
 一方、決議には2種類あり、法律などで定められていて法的効果があるものと、法的効果がない事実上のものがあります。法的効果があるものの例として、首長に対する不信任決議(自治法178条)や特別委員会の設置に関する決議(自治法109条4項)などがあります。法的効果がない事実上のものには、自治体議会の対外的な意思表明として、亡くなった首長経験者に対する感謝決議や外国の核実験に抗議する決議、そして議員辞職勧告決議などがあります。今回、「意見書」と併せて取り上げる「決議」は、後者の事実上のものです。
 意見書と決議はどちらも自治体議会としての意思表明ですが、果たして何が違うのでしょうか。それは法律に定められているかどうかです。意見書は前述のとおり自治法に定められているもので、提出できる相手などに一定の制約があります。一方、決議は法律に定められていないので、実務の必要に応じてかなり自由度の高いものとして活用できるものです。

意見書や決議の案を提出・議決するかは、どうやって決めるの?

女性

 意見書や決議は自治体議会の意思表明ですから、首長から議会に提案されることはなく、議会内部で「意見書を出そう」、「決議をしよう」という声が出て初めて動き出すものです。最終的に議員提出議案として提案されますが、前段階での典型的パターンが2つあります。
 1つ目が、議会への請願・陳情の内容として意見書の提出が求められている場合です。例えば国の法案に反対している市民がそれを自治体に後押ししてもらいたいとき、このような請願・陳情が提出され、これを自治体議会が採択すると、改めて議会は同趣旨の意見書案を議員提出議案として提案し、議決することになります。
 2つ目が、議員自らの発案で意見書案を提出する場合です。議員の政治信条や所属政党からの要請により、意見書案を提出したいという声を上げます。法規上は議員提出議案の提出に必要な賛成者数が得られれば正式に提案できるものです。しかし、実務上は、それとは別に、正式に提案するかどうかの議会独自の取決めがあり、例えば、ある議会では、最終的に全会一致が見込める意見書案でないと提案しないことにしています。このため、まず意見書案の前段階の素案を議会内部で検討し、正式に提案するか決めるのが一般的なようです。その過程で意見書案の文章の一部を変更・削除するための議論が行われます。

意見書や決議の文章は、誰がどうやって書くの?

女性

 請願・陳情の採択に基づく意見書案の場合、そもそもの請願・陳情の本文をベースとして、その趣旨に反しない範囲で議会として提出するのには適さない表現などを修正して意見書案をつくります。これは、おおむね議会事務局の仕事です。
 議員自ら提案する意見書案の場合、基本的に発案者の議員が書きます。その後、他の議員と議論をして、それぞれの意見に応じて文章を直していきます。「この言葉は削れ」、「この言葉を入れろ」などと明確な指摘がされる場合もあれば、「こんなニュアンスに変えてほしい」というざっくりとした注文もあり、これらを反映させて意見書案をつくり上げるのも、おおむね議会事務局の仕事のようです。
 また、そもそも文章に事実誤認などがないかをチェックするのも事務局の役目となります。議会として提出する以上、法律や団体の名前が間違っていたり差別的な表現が使われたりしてはいけません。提出先の関係行政庁も、昨今増えている内閣の特命担当大臣を宛先に含めるべきかなど、どこが適切か見極める必要があります。
 いずれにしろ議員提出議案ですから、途中のプロセスで事務局が関わるとしても、最初に「出したい」と声を上げるのも最後に案文をチェックして「出す」と決めるのも議員の皆さんです。

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