2017.07.25 議会事務局
第26回 どうやって決められているの?~議員定数と議員報酬~
議員報酬の一部を返上したい

「お手盛りの議員報酬増額に反対して、増額分については受取りを拒否しています!」なんて主張が書かれた議員個人のチラシがポストに投函されていました。元議会事務局職員としては「もしも議員が現金支給を希望して、増額分についてのみ『これは受け取らない』といって事務局に置いていったら職員はどうするのかなぁ」なんて妄想しながら記事を読んでいましたが、さて実際にはその増額分の報酬の受取りを拒否することはできるのでしょうか。チラシには※印付きで欄外に小さく「議員報酬の増額分相当額を法務省に供託しています」と書かれていました。なぜ、そんな面倒くさいことをするのでしょうか。増額分を単純に自治体に返還すればいいだけではないかと思いませんか?
実は公職選挙法199条の2により、議員は選挙区内にある者に対する寄附が禁止されており、議員報酬の返還や請求権の放棄は寄附に該当するため、簡単にはいかないのです。そのため「法務省への供託」という手段をとり、実質的に議員報酬の返上という状況をつくっているのです。なお、供託分については、議員を辞めてしまえば取扱いは自由なので、辞めてから寄附などをするという前提になります。
休んでいても報酬が出るの?

条例で特に定めがない場合、議会を休んでいても報酬は全額支給されます。ものすごく一生懸命仕事をしている議員も、一体何をやっているのか分からない議員も同様に報酬は支給されるのです。少し前に議会を長期間休んでいるにもかかわらず、3,000万円以上の報酬を受け取っていたとして批判を受けた議員がいました。当該議員としても違法行為ではなく、前述のとおり一部返還もできないため、忸怩(じくじ)たる思いだったのではないかと推測されます。
また「議員活動は議会の外でも行われており、議会を欠席するだけで議員としての職責を全く果たしていないと決めつけるのはおかしい」との意見もあります。しかし、議会活動は議員の活動の主となる場所です。そのため、長期にわたる議会の欠席について、報酬を減額する条例を定める議会が増えています。
ただし、公務災害によるものや議長が特に認めたものについては適用除外としています。産休についてはいろいろな意見があるようで、適用除外として明文化している議会もあれば、明文化していないものの議長が特に認めたものとして運用している議会などもあるようです。いろいろな意見があってまとまらないかもしれませんが、少なくとも行方不明や逮捕などの場合における支給の停止についての定めはきちんとしておいた方がよいかと思います。
いかがでしたでしょうか。議員定数のあり方や議員報酬について、以前に決められたまま現在までそれが続いているといった状況ではないでしょうか。一度、その根拠について話し合ってはみませんか? 次回は意見書と決議についてお話ししたいと思います。