2017.06.26 議会事務局
第25回 自治体議会の基本、「会議原則」
採決で可否同数の際、議長や委員長は自由に決められるの?
(現状維持の原則)

採決で可否同数となって結論が出ないとき、議長や委員長は可否のどちらにするか決める権限(裁決権)を持っています(自治法116条)。こんなとき、今までの状態を続ける方を選ぶべき、つまり、否決すべきだというのが「現状維持の原則」です。ただし、この原則は自治法や一般的な会議規則には定められておらず、原則に反しても違法ではありません。
議長や委員長は多数会派に属し、多数会派はほとんどの議案に可決を表明することが多いので、議長や委員長が多数会派寄りに可決で判断したくなるのも人情でしょう。それは違法ではありませんが、「現状維持の原則」には反します。可否同数という結果は、「可決」という、現状からの変更を受け入れられる態勢が整っていないということです。それなら反対を押し切って進めるよりも、今までどおりが無難という、お役所っぽい考え方の原則かもしれません。是非はともかく、この原則がありながら可決とする場合、議長や委員長は公正さを疑われかねないので、情勢を慎重に考慮して結論を出すことをお勧めします。
議決はやり直せるの?
(一事不再議の原則)

1つの案件についての議決を、その会期のうちにできるのは1回だけです。これは前述の「現状維持の原則」と違い、規定の有無にかかわらず守るべきとされています。1回は可決したけれど、後から考え直したら否決の方がいい気がしてきたので、みんなで議決をやり直すということはできません。同じことを何度も繰り返し審議して議決するのは非効率で意味が乏しく、議決自体の重みもなくなってしまうからです。
ただ、議決後に状況が変化したり隠されていた事実が発覚したりすれば、前提条件が崩れるので、「事情変更」があったものとして再度、議決できます。そのため、通年議会を導入したからといって、年1回しか議案を提出・議決できなくなるわけではありません。
一方、単に自分の勉強不足で重要な情報を見逃したまま議決したとしても、それは自己責任なので再度の議決はできません。まして、「本当は否決のつもりだったのに、うっかり間違えて可決で起立しちゃった」としても訂正はできないので、これから採決に入るのが、どの議案で、自分はどんな立場か、きちんと理解して間違わないようにしましょう。