2017.04.25 議会事務局
第23回 流行で終わらせない議会改革
簡単にできる議会改革ってないの?

議会基本条例の制定や議会報告会の実施には、相当の労力と時間がかかります。それらの実現が本当に求められていることなら、苦労してでも実現にこぎつけるべきでしょう。しかし、それだけを目指すと議論が膠着(こうちゃく)し、いつまでも成果が出ない日々が続きます。
知っていただきたいのは、議会改革とは特定のメニューの実施が必須ではないということです。コース料理のように、前菜、スープ、メイン、デザートと食べていかなければいけないものではなく、ビュッフェ形式で自分に合うものを好きなだけ食べればいいのです。議会改革のメニューには、議会基本条例や議員提出政策条例の制定、議会報告会の実施、通年議会の導入などのように典型的で重いメニューのほかにも、一問一答制の導入、議員間討議の推進、反問権の明確化、議決事項の追加、公聴会・参考人の活用、請願・陳情の提出者による説明、議会事務局の機能強化、ホームページ等での情報提供の充実、議員研修の実施など、挙げればきりがないほどいろいろなものがあります。傍聴席の環境を少し良くするとか、本会議などに出席する執行機関職員の顔触れを見直すとか、何でもありです。
手っ取り早く何らかの成果が欲しいとすれば、条例改正などを必要とせず、議員にも執行機関にも負担が少ない取組みは比較的進めやすいでしょう。
議会改革の主なメニューを全部やったら、改革は終えたと思っていいの?

議会基本条例を制定し、議会報告会を実施したから、「議会改革は卒業だ」とは思わないでください。きつい受験勉強を続けてきた疲れで大学に入ったら全く勉強しなくなるのでは本末転倒なように、議会改革は代表的メニューをこなしただけで完結するものではありません。このようなことを意識しているからこそ、多くの議会基本条例は見直し条項を設けています。議会改革とは、議会基本条例を制定することや議会報告会を実施することではなく、それらの手段を通して「より住民のための議会になるように改革すること」です。
議会改革を進めても選挙の票に結びつかないという話をたまに聞きます。「議会基本条例をつくったから自分たちは議会改革をした」という考えは所詮、関係者の自己満足でしかないのかもしれません。議会人は議会基本条例の意義を知っていますが、執行機関の一般職員は知りませんし、まして一般住民は議会基本条例という言葉さえ聞いたことがないでしょう。住民が議会や議員の存在意義を感じてこその議会改革です。終わりの見えないマラソンのようで苦しいかもしれませんが、常に課題の解決に挑み続けていくことこそが、議会が住民の負託に応えていくということではないでしょうか。