2017.04.25 議会事務局
第23回 流行で終わらせない議会改革
議会事務局実務研究会 大島俊也
自治体議員の皆様、こんにちは。第23回目の今回は、新年度に入って気持ちも新たに「議会改革」についてです。北海道栗山町議会が議会基本条例を制定してから10年を過ぎた今、改革の中身そのものとは少し違った疑問に答えてみたいと思います。
議会改革を進めたいけど、まず何をすればいい?

いきなり手段そのものに着目して議会改革に着手するのは、お勧めできません。議会改革の代表的メニューとして、議会基本条例の制定や議会報告会の実施などがあるのは確かですが、大事なのは何のためにそれらを行うかです。全国あまたの自治体がある中、それぞれの自治体議会にはそれぞれの強み・弱みがあり、求められる改革の中身は異なります。それらを踏まえず、目立つ手段にだけ取り組んでみても「仏つくって魂入れず」、本質は何も変わりません。
最初に、皆さんの議会の課題は何なのかを考えてみましょう。審議が充実していないのか、住民が議会について知らないのか、などなど。課題は複数あるでしょうが、その中で重要度や難易度によって何に取り組むかが決まってきます。議会が自らの思いを政策として実現できていないとすれば、議員提案の政策条例の成立を目指すのもいいでしょう。審議や政策は充実しているのに住民に知られていないなら、議会報告会や様々な広報手段の充実を図るのもいいでしょう。皆さんの議会が抱えている課題が分かれば、まず何をすればいいかも、おのずと見えてくると思います。
議会改革に取り組みたくても、議会内の意思統一が難しいのでは?

「総論賛成・各論反対」は、議会改革に取り組もうとする中でも起こります。「議会改革」という言葉自体、中身が曖昧でどうにでも解釈できるため、具体的な取組方を議論し始めた途端、同じ「改革」を口にしていた議員同士の意見がまとまらなくなるのです。与党系と野党系の立場、高齢ベテラン議員と若手新人議員の知識や意識のギャップが如実に現れてくることもあります。具体的な中身の問題だけでなく、手続として与党系議員が一方的に仕切るような進め方は野党系議員が嫌うでしょうし、高齢ベテラン議員の中にはICT化などの先端技術の導入が生理的になじめないこともありがちです。
結局、議会改革は進まないのかというと、そうとも限りません。要は、どこまで自分の理想に固執するかです。議会改革は、性質上、露骨な多数決で進めるのは望ましくありません。多種多様な議員が集まって議論をする議会において、議員の皆さんは議論を通して落としどころを見つけていく政治的センスを持っています。議会改革は、首長提出議案に各議員が賛否を表明するように、単なる〇か×かというものではないはずです。小異を捨てて大同に就く。普段は対立しがちな議員同士が納得できる落としどころを探っていく過程もまた、議会改革のための大事なプロセスではないでしょうか。