地方自治と議会の今をつかむ、明日につながる

議員NAVI:議員のためのウェブマガジン

『議員NAVI』とは?

検索

2017.04.10 議会事務局

第31回 政務活動費の後払いに事務局は耐えられるか

LINEで送る

回答へのアプローチ

 政務活動費については、予算執行権がある市長(首長)に申請し、交付を受けることになります。ただ、交付の対象などは条例で決めることになっていますし(地方自治法100条14項)、次のような規定も置かれています。

◯地方自治法
第100条 ①〜⑭ 略
⑮ 前項の政務活動費の交付を受けた会派又は議員は、条例の定めるところにより、当該政務活動費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出するものとする。
⑯ 議長は、第14項の政務活動費については、その使途の透明性の確保に努めるものとする。
⑰〜⑳ 略

 こうしたことから、いえることがあります。政務活動費については、報告書の提出を会派や議員に義務付け、議長に透明性確保の義務を課しているのです。市長から交付されるお金であっても、「正しく使う」、「正しく報告する」責任は議会側にあります。
 もしかしたら、こうした地方自治法の趣旨(規定ではなく……)に反して、適正な交付に当たってのチェックを理事者側に「丸投げ」している議会もあるかもしれません。ただそれでは「そもそも政務活動費をもらうな!」との声が住民の間で湧き起こることでしょう。回答としてBは適切ではありません。
 残りは、AかCかです。議長の透明性確保の役割についてです。どんなにマメな議長であっても、自分で領収書や報告書をチェックして議会のウェブサイト上で公表するということはしないでしょうから、その実務は事務局が担うことになります。ただ、会派や議員に一定の役割を果たしてもらうことは可能です。地方自治法100条15項には「政務活動費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出するものとする」とあります。これは単に報告書を提出すればいいのではなく、当然、「正しい報告書」を提出しなければその義務を果たしたことにはならないはずです。そうだとすると、その前提として、会派や議員には「正しい支出」であることの確認作業が必要となります。詳しくは後ほどお話ししますが、回答はCとしたいと思います。

実務の輝き・提言

 政務活動費の条例を後払いに改正する際には、地方自治法の規定の「裏」にある部分を条例で明らかにしておきたいものです。まず、後払いの場合には、支払いの事実を証明して、政務活動費の交付を受けるわけです。この事実を証明する報告書は収支報告書ではなく実績報告書となります。「先に〇〇万円の政務活動費を交付されて、それをどう使った」かを報告する収支報告書とは異なるのです。後払いの場合には、収支報告書は1年間を通じての「まとめの報告書」となります。また、条例には、市長への交付申請に当たって、議長がこの実績報告書の内容をチェックできることを具体的に書き込む必要もあります。議長の調査権限は条例で規定がなくとも、地方自治法の規定から導けますが、調査をスムーズに行うためにも、また、事務局職員が議長の調査権を補佐しているということを理解してもらうためにも重要です。京丹後市の条例でいえば、次の10条2項と4項がそれに当たります。

◯京丹後市議会政務活動費の交付に関する条例
 (実績報告)
第10条 略
2 第8条の規定により申請をした会派の代表者及び無会派議員は、政務活動費の交付の対象となる前項に規定する上半期の政務活動を完了したときは、上半期の末日の属する月の翌月10日(略)、下半期の政務活動を完了したときは、3月末日(略)までに、政務活動費実績報告書に当該政務活動の実施報告、政務活動に要した経費の収支の状況及びそれを証する書類等を添えて、議長に提出しなければならない。
3 略
4 議長は、前2項の規定により政務活動費の実績報告があったときは、その内容を審査し、必要があると認めるときは調査等を行い、必要に応じて修正を求め、市長に送付しなければならない。
5 略

この記事の著者

議員 NAVI

今日は何の日?

2025年 425

衆議院選挙で社会党第一党となる(昭和22年)

式辞あいさつに役立つ 出来事カレンダーはログイン後

議員NAVIお申込み

コンデス案内ページ

Q&Aでわかる 公職選挙法との付き合い方 好評発売中!

〔第3次改訂版〕地方選挙実践マニュアル 好評発売中!

自治体議員活動総覧

全国地方自治体リンク47

ページTOPへ戻る