2017.03.27 議会事務局
第22回 「議員」じゃないけど「議会人」です、「議会事務局」
議会事務局は議員の秘書のようなもの?

議会事務局は議会全体に関わる仕事を行い、秘書のように一議員の活動まではサポートしません。本連載の第2回で述べたように、議長の挨拶文の確認はしますが、議長が個人的に参加する会合の挨拶文をつくることはありません。議員からの依頼は、議案を検討するための調査や政務活動費の取扱いについての相談なら事務局の仕事ですが、議員個人の市政報告会やプライベートな買物は仕事ではありません。
ところで、事務局は議会の裏方です。議会は議員が主役で、事務局が議員を差し置いて口を出すことは控えるのが基本的姿勢ですが、職員も執行機関で多様な経験を積んできた行政のプロですから、何の考えもないわけではなく、それを胸にしまって議員からの求めに謙虚に応えようとしています。そんな職員は、筆者が所属する「議会事務局実務研究会」の仲間のように自主的に勉強を重ねていることもあるでしょう。一歩踏み込んで職員に声をかけてみると、議員とは違う立場の議会人としての鋭い指摘や先進的提案が聞けるかもしれません。ただ、その程度は職員によって違います。職員の知識や意識、個性を見極めて、うまく議会事務局を使ってみてください。
議会事務局の職員に餞別(せんべつ)やお土産をあげてもいい?

人事異動で議会事務局職員の一部も入れ替わります。去っていく職員に餞別をあげたい、送別会をしてあげたいと思う議員の方もいるかもしれません。視察先で職員にお土産を買っていこうと思ってくれる方もいます。公務員倫理を厳格に追求すれば、安いまんじゅう1個でも受け取ってはいけないかもしれませんが、社会常識としてまんじゅう1個を職員への利益供与と非難するのは考えすぎのような気もします。ただ、各自治体で職員に課す制限は異なり、ある市は1,000円以上の品物を受け取ったときは報告書を提出する決まりだそうです。餞別や土産が一律にダメではないとしても、あげて当然・もらって当然ということも絶対にありません。高価なブランド品や金一封は、どんな感謝の気持ちであっても論外。ただの友達だと思っていた人からダイヤの指輪をプレゼントされたら、うれしいどころか気持ち悪いのと似たようなものです。言葉だけで気持ちを伝えるのが無難でしょう。
ところで、異動で事務局を出た後、庁舎内などで議員の側から笑顔で名前を呼んでもらえるとうれしかったりします。逆に、職員の側から挨拶しても生返事で済まされると、数年間の事務局での仕事は何だったのかと悲しくなるのも人情。出ていった事務局職員は、その後、執行機関で活躍するだろう職員です。筆者が最初に議会事務局に配属されたときに一緒に働いた上司や先輩の約7割が、その後、出世しました。せっかくできた人脈は大事にした方が結果的に議員の皆さんにとっても得かもしれません。
いかがでしたか? 議会事務局の職員は、元は執行機関の職員だとしても、今は「議員」の味方の「議会人」です。適度な距離感を保ちつつ協力して議会を盛り上げていきましょう。次回は「議会改革」について取り上げます。