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2017.02.27 仕事術

第24回【最終回】 議会は考える機関。考えるために視察に行く

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●今回のポイント
(1)議会(議員)視察の最終目的は「住民の福祉の増進」にある。
(2)視察の成果を最大限活用するには、議会(議員)が政策条例を提案することである。
(3)視察で得た知見を鵜呑みにせず、考えることが大事である。

●筆者が勧める視察先
 視察は現地に行くもの……という考えを根本から覆す事例が登場した。それは、テレビ会議を使った視察である。テレビ会議を活用することにより、現地に行く必要がなくなる。
 大津市議会(滋賀県)の公共施設対策特別委員会は、テレビ会議を活用して鎌倉市(神奈川県)とインターネットで結び、大津市議らが鎌倉市職員から説明を受けた。鎌倉市は、公共施設の統廃合などの公共施設マネジメント行政で先進的な取組みを実施している。
 テレビ会議による視察は、予算をかけずに実施できる利点がある。また、直接現地に行かないため、時間も大幅に短縮できる。テレビ会議を活用した上記視察では、大津市議会議場のスクリーンに映し出された鎌倉市職員が、鎌倉市が実施している公共施設マネジメントの説明をした。大津市議は手元のタブレット端末に表示された資料を見ながら、鎌倉市職員と様々な意見交換を行っていた。
 もちろん、すべての視察がテレビ会議に適しているとはいえないが、比較的多くの視察は、テレビ会議を活用することにより、現地に行かなくても様々な知見を得ることが可能である。テレビ会議を活用した視察は、汎用性が高いと思われる。読者の議会でも試してみたらどうだろうか。
 大津市議会は、議会の取組みでは最先端を行っている。2014年からタブレット端末を各市議に貸与するなど情報通信技術(ICT)化を進めてきた。2017年1月24日には、大津市議会で議員研修会が開催された。同研修会は、インターネットで生中継をされたため、大津市議に限らず、多くの人が視聴できた。テレビ会議を含め、議会のフロントランナーである大津市議会へ視察に行くことは有意義と思われる。

●推薦する図書
 ・牧瀬稔『条例で学ぶ政策づくり入門』東京法令出版(2009年)
 最後も筆者の著書を紹介しておきたい。議員提案政策条例に寄与する図書と思っている。同書は、当時、注目を集めていた政策条例を概略的に紹介している。現在でも活用できる条例である。特に、政策条例を立案するための基本的事項を把握し、政策条例を立案する視座を提供している。また、政策条例を通して、幅広い自治体政策を立案していく視点や捉え方が習得できると思われる。
 本書において、「子どもの権利条例」、「生活安全条例」、「住民投票条例」、「協働推進条例」などを取り上げている。いずれも政策的な条例であり、議員提案政策条例にもなじむと思われる。これからの議会は、政策条例を積極的に提案し、執行機関を動かしていくことが求められる。議会がつくる政策条例により、執行機関をマネジメントしていく時代である。ぜひ、積極的に議員提案政策条例に取り組んでほしいと思う。

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