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2017.02.10 公職選挙法

第1回 事前運動の禁止と限界

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(3)要件①「特定の公職の選挙についてであること」
 「特定の選挙」とは、文字どおりなにがしかの選挙を想定してという意味です。ここで注意すべきは、必ずしも公示や告示などで特定されている必要はなく、次回の市議会議員選挙や来年の市長選挙といったある程度抽象的なものであっても、「特定の選挙」とされる可能性があるということです。
 したがって、現在の任期が始まったばかりでも、「次回の市議選でも~当選に向けて皆様の~」などと街頭演説をすれば、「特定の選挙」該当性としては十分なのです。

(4)要件②「特定の立候補者又は立候補予定者のための行為であること」
 ある個人を特定してであれば当然満たしますが、政党などに対する投票依頼などの場合でも該当することがあります。
 例えば、比例代表選挙など政党名を記載する選挙では、政党名の記載は最終的に名簿登載候補者個人に対するものとなります。また、当該選挙である党からの候補予定者が1人しかいない場合に選挙での政党への支援を呼びかけることも、実質的に候補者のための行為とされる可能性が高いと考えられます。
 なお、「立候補者又は立候補予定者」とありますが、実際にはその選挙に立候補しなくとも、さらには行為時に本人には立候補の意思すらなかったとしても、選挙に結びつけて行われればこの要件を満たしますので要注意です。

(5)要件③「投票を得又は得させる目的があること」
 この要件は文字どおりの意味です。すなわち、当該候補者等にとっては「(自らに)投票を得る目的」、当該候補者等ではない第三者にとっては「(当該候補者に)投票を得させる目的」ということです。
 「目的」という主観的な要件ですので、内心に目的があれば、別に外に対して目的を言わなくともこの要件を満たしますし、効果として生じさせる意図があれば必ずしも積極的に目的を持っていることまでは不要です。
 また、結果的に投票を得られ又は得させたことも不要です。

(6)要件④「直接又は間接に必要かつ有利な周旋、勧誘その他諸般の行為をすること」
 この要件は選挙運動における行為の内容を示しています。「周旋、勧誘」は例示にすぎず、その他の行為であっても投票を得又は得させるために必要かつ有利な行為であれば要件に該当します。
 ただ、この要件については、「直接又は間接に」とあるため、形式的に読んで解釈すると、ほとんどすべての行為が該当することになってしまいます。
 選挙ポスター作成や選挙事務所の借入れ等の準備行為や立候補の瀬踏み行為としての意見聴取、政党や団体に公認を求めることなどは、選挙があることを前提として票を得るための準備活動と見ることができますし、街頭演説やビラ配り、後援会活動など日々行われている政治活動も、結局は支持を得て将来の選挙において議員として当選し、政策を普及啓発し実現するために行う意味もあることから、選挙運動に含まれてしまいかねません。
 そこで判例や学説では一定の絞りをかけていますので、次の事例検討にて解説します。

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