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2017.01.13 仕事術

第2回 決算審査(監査)と、決算認定(議会)はどこが違うのか?

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人口30万人を超える自治体議会議員 木田弥

識見を有していることが前提となる

 今回は、監査委員の決算審査と議会の決算認定の違いをよく理解いただくことで、議選監査の役割と機能について理解を深めていただきたいと思う。議選監査委員以外の監査委員は「普通地方公共団体の財務管理、事業の経営管理その他行政運営に関し優れた識見」(地方自治法196条1項)を有していることを前提にしている。議選監査委員も、これら識見を有していなければ、有効な監査活動はできない。
 監査事務局も、識見を有していることを前提にしているようだ。初めての就任時には、少々面食らった。我が市の場合、議選監査委員は、その是非は別として、ほぼ1年交代である。6月定例会で就任が決まり、その後、7月には、監査委員にとって最も重要かつ、負担の重い決算審査がやってくる。監査委員の仕事や役割などについて事前のレクチャーなどがなされるかと期待していたが、そういった準備はほとんどなく、大量の資料を渡され、いきなり実際の決算審査に臨むこととなる(もっとも、一定の救済措置は用意されている)。
 議会の決算認定の際に行政から提供される資料は、「行政報告書」と「決算書(案)」、及び監査委員が作成した「決算審査意見書」、「主要事業実績報告・概要報告」である。資料の厚さは合わせて2~3センチ。一方、監査事務局が、決算審査のために準備する資料は、厚さ15センチファイルにも収まらないほどの厚さである。
 事務局の体制も、議会事務局と比較すると、その体制の手厚さが分かる。我が市議会は、議会事務局職員が14名。議員1名に対して職員が約0.5名である。一方、監査委員4名に対して監査事務局職員は8名。監査委員1名に対して職員は2名となる。ざっくり4倍の人員配置である。少し古いが、平成19年度総務省調べによる特例市の場合の平均事務局職員数は7.7人。他市では監査事務局以外の業務も兼任している例もあると聞く。我が市は全員が監査事務局専任なので、他市に比べて、事務局体制は充実しているといえよう。
 議会の決算認定は、おおむね4日間。一方、監査委員による決算審査は6日間。決算特別委員会は9名であるのに対し、監査委員は4名。監査委員1名当たりの負荷は、議会の決算認定に比べて3~4倍といったところだ。

監査委員の決算審査に不認定はない

 議選監査委員が決算審査で配慮しなくてはならず、かつ、戸惑うのは、決算審査と議会の決算認定の着眼点の違いである。監査委員の行う決算審査は、「決算等が(中略)その内容を適正に表示していること、及び予算の執行又は事業の経営が適正に、効果的で効率的かつ経済的に行われていること」(都市監査基準(全国都市監査委員会)3条)をチェックするものだ。
 議員にとっての決算認定とは、自分たちが可決した、あるいは反対した予算や条例が、しっかり執行されているか否かを確認する機会でもある。よって、議会はその決算を「認定」するか、「不認定」とするかの判断が求められる。一方、監査委員の決算審査に求められるのは、「意見」である。「意見」を監査委員の合議で決定し付す。

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