2016.12.26 仕事術
第22回 調査研究の視点(1)
●今回のポイント
(1)調査手法には、定性的調査と定量的調査の2つがある(視察は定性的調査に入る)。双方を活用していくことが大切である。
(2)視察は、ヒアリング調査・インタビュー調査、有識者ヒアリング調査、フィールド調査・現地調査・海外調査が該当する。
●筆者が勧める視察先
・マッセOSAKA 特別研修「政策形成実践研修」
マッセOSAKAは愛称であり、正式名称は「おおさか市町村職員研修研究センター」という。同センターは大阪府内の市町村職員(政令市除く)の広域的な研修研究機関として、1995年10月に開設された。
マッセOSAKAの特別研修「政策形成実践研修」は、「職員研修×政策提言=中長期の政策形成研修」を意図している。モデル自治体として「岬町」(大阪府)を設定し、研修生は、岬町の岬町による岬町のための政策提言を行う。政策提言を意図しながら、しっかりと政策形成研修も行っている点が特徴である。
今年度は7自治体から参加した。内訳は、茨木市(1名)、豊中市(1名)、高槻市(1名)、岸和田市(3名)、貝塚市(1名)、河南町(1名)、岬町(2名)であり、合計10名が参加した。この10名が岬町に政策提言するため、半年間「政策形成実践研修」に取り組んだ。
筆者は、かなり前から「職員研修×政策提言=中長期の政策形成研修」の必要性を訴えている。本当に職員に政策形成能力を身につけたいのならば、半年間にわたる研修がよいと考えている。しかし研修だけで終わるのは、とてももったいない。そこで、政策提言もひとつの目的として実施した方が、参加者にとってもメリットになる。
マッセOSAKAの特別研修「政策形成実践研修」は単一自治体でも実施が可能である(移転できる)。一度、視察に行ってみてはどうだろうか。
なお、詳細は、牧瀬稔「マッセOSAKA発 特別研修『政策形成実践研修』の可能性」(自治実務セミナー2016年12月号)を参照していただきたい。
●推薦する図書
・牧瀬稔『地方議員が開く「政策の窓」』中央文化社(2016年)
前回に続き今回も筆者が執筆した図書で申し訳ないが、同書を紹介したい。同書は『議員研修誌 地方議会人』において、2015年4月から2016年3月まで連載した論考をまとめたものである。
地方創生を進めるに当たり、今後注目を集めると思われる政策事例を紹介している。その事例は、シティプロモーション、税外収入、人口減少対策、自治体シンクタンク、議員提案政策条例、議会基本条例など12分野にまとめている。書名に「地方議員」が入っている。地方議員にとって参考になる事例を収集して解説している。
政治学者であるキングダンは、①政治的課題として認識され、政策アイデアが練られているという状況があり、②政権や関係省庁が推進の立場に立つという条件が満たされることにより、「政策の窓」が開かれ、政策は実現に動いていくと主張している。
地方議員は、政策が必要と判断したのならば、政治的課題を自ら調べ、政策アイデアを構築し、政策を推進するために執行機関や関係団体を味方につけ、「政策の窓」をこじ開けてほしいと思っている。そんな願いを込めて、書名に「政策の窓」を入れている。