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2016.11.25 仕事術

第21回 政策提案の実現性は財源の裏付けにかかっている

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●今回のポイント
(1)行政資源が縮小していく中で財源の裏付けを持った政策提案が求められる。
(2)議員視察(議会視察)に関する法的根拠を明確にする必要がある。

●筆者が勧める視察先
 最近、地方自治体にはやりつつある「サウンディング型市場調査」を紹介したい。この調査は、「行政が保有する資産活用の検討に当たり、その活用方法について民間企業等と対話を通して広く意見や提案を求めることにより、市場の意向を把握する調査」である。
 サウンディング(sounding)には、「打診する」や「ある事案に対する相手の意向や意見を確かめるために、前もって相手に働きかけ、様子をうかがう」という意味がある。
 地方自治体だけの政策展開では独りよがりになってしまう。そこで、事前に民間企業等の意向を把握してから政策を実施するという意図がある。いくつか先進事例を紹介したい。
 横浜市は、本牧市民プール及び横浜プールセンターの再整備に当たってサウンディング型市場調査を実施した。茅ヶ崎市は、市役所仮設庁舎跡地の活用について同調査を実施している。また、和歌山市では、市営大新地下駐車場における民間活用事業の選定を行う上で、公募内容や条件を決定するに当たり、民間事業者の利用意向や活用手法を取り入れ、従来の活用方法にとらわれない公募条件を把握することを目的に同調査を実施している(ウェブで「サウンディング型市場調査」と検索をすると、いくつか既存の事例がヒットする)。
 サウンディング型市場調査は、施設整備などハードが対象となることが多いが、筆者はソフトの事業においても実施してよいと思っている。地方自治体が政策を実施する前に、もっと市民や民間事業者の声を反映してもよいだろう。そうすることが「新しい公共」(新たな公)の実現につながっていく。

●推薦する図書
 ・牧瀬稔=中西規之編著『人口減少時代における地域政策のヒント』東京法令出版(2009年)
 今回も筆者が執筆した図書で申し訳ないが、同書を推薦したい。日本創成会議の「消滅可能性都市」が発表されて以降、人口減少がトピックスになっている。同書は、今日の人口減少ブームの数年前に著したものである(「人口減少ブーム」という表現はよくないかもしれない。しかし、実際はそのような状況と思われる)。
 同書は人口減少に対し、先進的に取り組んだ事例を紹介している。先進的な事例を示すことにより、読者に対して「ヒント」を提供することを意図している。同書の中に記していることは「事例の中から、使える思想やシステムはベスト・プラクティス(よい見本)として捉えていただきたい。一方、使えないと判断された事例は反面教師として捉え、より素晴らしい地域政策の開発に活かしてほしい」ということである。
 注意すべきことは、人口減少による変化をいち早く的確に捉えて効果を上げている地域政策でも、そのまままねをすればどの地域でも効果が出るというわけではない。その意味で「ヒントの提供」である。
 同書の反省点は、「人口減少はよくない」という前提で言及していることにある。しかし、人口減少がバラ色の未来を招くこともあり得る。実際、今年あたりから人口減少を肯定的に捉えて、よい未来を考察する図書も現れ始めた(個人的には、人口減少を克服することは、多くの自治体にとって難しい。そこで肯定的に捉えざるを得ない状況にあるのだと思う)。今日、人口減少に関して、様々な視点があるため、良い点と悪い点を明記している図書を読み比べるとよいと思う。

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