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2016.11.25 仕事術

第21回 政策提案の実現性は財源の裏付けにかかっている

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議会における視察の法的根拠はどこか

 本連載は「議員視察」について、視察に関する様々な見地から、筆者の経験をもとにそのノウハウや視点を紹介してきた。今さらの感があるが、改めて視察の法的根拠を考えてみたい。
 地方自治法は、一見すると、議会(議員)に視察は求めていない。地方自治法の中に「視察」という2文字が登場するのは、157条2項である。そこには「前項の場合において必要があるときは、普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体の区域内の公共的団体等をして事務の報告をさせ、書類及び帳簿を提出させ及び実地について事務を視察することができる」とあり、主語は長となっている。つまり「長が視察することができる」のである(実際は長が視察をすることはまれであるため、長から権限を委任された補助機関が視察をすることになると思われる)。なお「前項」とは、「普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体の区域内の公共的団体等の活動の綜合調整を図るため、これを指揮監督することができる」という条文である。
 地方自治法第6章に規定されている議会の章を読んでも、視察について明記している条文はない。視察を議会活動に明確に位置付けるためには、議会基本条例において視察の位置付けを明確にする必要があるかもしれない。今日、多数の議会基本条例がある中で、視察を規定しているものは意外と少ないが、例えば、登別市議会基本条例は3条が「委員会の活動」となっている。そして条文は「委員会は、市民との協働にふさわしい委員会活動及び運営を目指すため、次に掲げることを行います」となっている。そして同条4号に「充実した行政視察の実施とその成果を踏まえた政策提案」と明記されている。また、春日部市議会基本条例は、6条が「議会の機能強化」となっている。そして同条2項が「議会は、政策立案に資するため、必要な研修及び視察を行うことができるものとする」と明記し、続いて3項が「議会は、前項の研修及び視察を行ったときは、その結果を市民に公表しなければならない」と記されている。筆者は、全て調べたわけではないが、議会基本条例の中に視察を規定している事例は少ない。
 このように議会基本条例には「視察」は明記されていないが、多くの場合は政務活動費の交付に関する条例や議会事務局処務規程の中に「視察」という2文字が登場してくる。これらの条例や規程の中で、一応、視察を位置付けているようである(位置付けているといっても、視察に関する支出費目などであり、趣旨がやや異なる)。しかし本来は、議会基本条例の中で、議会が行う視察の意義や役割、また視察を経て得られた成果の活用方法(視察結果の情報公開も含む)なども明確に記した方がよいだろう。
 改めて視察の意義を考えた方がよいと思う(特に法的根拠からの視察の意義を検討すべきである)。なお、地方自治法には議会(議員)の「視察」という言葉がないという事実は先に記したとおりであるが、「調査」という文言はある。視察はその中に含まれていると解釈することは可能かもしれない。

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