2016.10.11 政務活動費
政務活動費を廃止した泉南市議会
政務活動費を交付する条例の廃止
同じ平成28年第1回臨時会において、議員報酬の10%減額の上に、政務活動費を交付する条例を廃止する条例案が提案され、全会一致で可決された。
政務活動費については、泉南市議会政務活動費の交付に関する条例に基づき、市議会議員に対し、1か月当たり5万円が交付されていた。これを、臨時特例に関する条例を設けて、2013年7月1日から2016年7月31日までの間、政務活動費を40%減額し、1か月当たり3万円としていた。そして、政務活動費の交付に関する条例及び政務活動費の交付に関する条例の臨時特例に関する条例が廃止され、2016年8月1日から政務活動費の支給はなくなる。
(1)廃止理由
臨時会で提案者の南良徳議員(心政クラブ)は、提案理由を次のように述べている(録画映像から筆者が文章化。①~④を付したのは以下の説明の便宜のため)。
① 政務活動費は、地方自治法(以下「自治法」という)100条14項に基づき、条例の定めるところにより、その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費を交付することができるとの規定に基づき交付されているものであります。
② 市民が何を求め、何を期待しているのかを知るための日常の活動や政策立案に当たり先駆的な政策を実施している他の市町村を視察したり民間の優秀な事業について研究することが政務活動の重要な活動の一環であります。
③ 条例や法によって、あるいは制度で規制されたものを、政務活動費と称して費用を支弁されていることが議員活動そのものに規制を加えることになり、議員の自主的活動の中で、自律的な政策提言を行うことの方が、より柔軟な政治活動を行えるのではないかと考えるものであります。
④ 議会議員は、個々の自己責任で自由に議員活動を行うべきであり、政務活動費の交付によって、その活動に制限が及ぶことがないよう、現下の社会情勢等も勘案し、政務活動費の交付に関する条例及び政務活動費の交付に関する条例の臨時特例に関する条例を廃止することを提案するものであります。
(2)廃止理由の検討
①に関して――自治法100条14項の理解の仕方
自治法100条は、自治体の議会は、当該自治体の事務に関する調査を行うことができ、当該調査を行うため特に必要があると認めるときは、選挙人その他の関係人の出頭及び証言並びに記録の提出を請求することができると定めている。その14項に、政務活動費に関する規定があり、自治体は、「その議会の議員の調査研究その他の活動に資するため必要な経費の一部として、その議会における会派又は議員に対し、政務活動費を交付することができる」としている。
まず、自治体は、条例に基づき「政務活動費を交付することができる」のであって、交付を義務付けられてはいない。交付しなくても構わない。第2に、政務活動費は「議員の調査研究その他の活動に資するため必要な経費」であるが、必要とする全額ではなく、その一部を交付するのである。政務活動費で賄う以外の「議員の調査研究その他の活動」(政務活動)に必要な経費は議員が議員報酬等からやりくりをするのである。仮に政務活動費を交付する条例があっても、それを使わなくとも「政務活動」を行えるなら政務活動費は使わなくともよいのである。また、交付を受けても使い切る必要はない。